今後の日本経済の浮沈の鍵を握る、成長戦略第2弾の素案が発表された。先送りにされてきた課題に対し、一定の答えを示したことは評価できる。ただ依然、十分ではない。

 ひとまず、期待はつながれた。6月16日、成長戦略第2弾の素案が発表された。月末までに閣議決定される。

 今回の内容の大きなポイントとしては、法人税の実効税率引き下げと、年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)の運用方針見直しが明記されたこと、そして“岩盤規制”の象徴として注目されていた、労働市場、農業、医療・介護の3分野で、幾つかの施策が示されたことである。

 法人税の引き下げやGPIFの改革は、企業・産業の活性化のためと位置付けられているが、むしろ株価対策という意味合いが大きい。日本の株式市場の動向を左右している、外国人投資家の注目度が高かったからだ。

 もっとも、6月10日発表の「骨子」や事前の報道等で情報が小出しにされていたこともあり、今回の発表に市場はほとんど無反応だった。具体策が皆無なら株価が大幅下落しかねなかっただけに、「ネガティブな反応がなければ良しとすべき」(湯元健治・日本総合研究所副理事長)というところだろう。

 労働市場改革では、一部の従業員の労働時間規制を外し、残業代なしでの裁量労働制を認める、いわゆるホワイトカラー・エグゼンプションの導入が盛り込まれた。今回は「少なくとも年収1000万円以上」で「職務の範囲が明確で高度な職業能力を有する労働者」が対象とされた。