エクセルは「見た目」が大事。でも、外資金融マンはスーツの見た目にもこだわります。その圧倒的なこだわりを、一挙大公開!『ビジネスエリートの「これはすごい!」を集めた 外資系投資銀行のエクセル仕事術』の著者・熊野整氏による連載第7回。

私が外資系投資銀行で目撃した
見た目への異様なこだわり

 拙著『ビジネスエリートの「これはすごい!」を集めた 外資系投資銀行のエクセル仕事術』では、エクセルにおいてフォーマット、つまり見た目はとても重要という話をしています。本書では60ページ以上にわたって、どのようにして見やすいエクセルを作るのか、丁寧に解説しています。フォントサイズ、数字の色、罫線の引き方……それぞれ細かいルールを設定しています。

 ところが、投資銀行の人たちが「見た目」にこだわるのは、エクセルに限ったことではありません。例えば、スーツ。私がモルガン・スタンレーに入社したころ、上司から、「スーツにこだわれ!」と言われた話を紹介します。

外資金融マンの身だしなみの話

(1)吊り服はNG

「吊り服」が何を意味しているのかさっぱり分からなかったのですが、どうも調べてみると、既製服のことらしい。つまり、「吊り服はNG」とは、オーダーメードのスーツを着ろ、ということ。いやいや、お金がない新卒の社会人にオーダーメードのスーツはムリだろう!ということで、この指示は拒否しました(笑)

(2)靴下はハイソックスを履くべし

 なぜハイソックスか?普通の靴下をはくと、椅子に座ったときに、ズボンがたくし上がるので、すね毛が見えてしまうわけですね。これはクライアントに対して失礼だ、という上司の主張。なるほど、たしかにそれはクライアントも嫌がるかもな…と思い、ハイソックスを履いてみることにしました。ところが、とにかく夏が暑い!ただでさえスーツは暑く、ネクタイ必須の金融業界。そこにハイソックスが加わるのはつらすぎる!ということで、結局この指示も拒否。

(3)カラーキーパーは必須

 カラーキーパーって知っている人も多いと思いますが、シャツ衿の芯のことですね。シャツは襟が丸まってしまうことがあるので、このような金属製の芯をシャツの襟に入れるわけです。「襟元がしっかりしていると、スーツもピシッと見える」と上司の指示。これは納得。カラーキーパーは値段も高くないので、さっそく購入。

外資金融マンの身だしなみの話


 ところが、こちらも結局続きませんでした。なぜか?投資銀行はとにかく激務です。運動もできず、ストレスのせいで食べてしまうため、私は入社してすぐに太ってしまいました。太ると、首回りもきゅうくつになってきます。すると、この金属製のカラーキーパーが、私の首や鎖骨に突き刺さるわけです。痛い。

 ということで、私は上司の指示に1つも従うことはありませんでした。投資銀行は、エクセルができないとクビになりますが、スーツがきれいじゃなくてもクビにはなりません。(たぶん)

 以上、外資系投資銀行がこだわる「見た目」の話でした。