コンテンツ産業が衰退する電子化時代なんておかしい<br />角川グループホールディングス会長兼CEO 角川歴彦 Photo by Masato Kato

──電子書籍サービスの提供主体として、アマゾンやアップル、グーグルの存在感が増すなかで、日本の会社からは今のところ有力なサービスが出そうにない。

 アップルのiTunesやiPhoneは大成功しているわけだけれども、そこに音楽やアプリケーションを提供する会社はどれだけ儲けているだろうか。iPhone向けのアプリケーションで成功した会社も、せいぜい、年間数千万円とか数億円というレベルだろう。

 一方で、任天堂のファミリーコンピュータやNTTドコモのiモード向けにソフトやサービスを提供した会社のなかには上場した会社がいくつもある。

 アップル自身が数兆円という規模で拡大するなかで、コンテンツ産業が衰退していくのはおかしい。コンテンツという卵を産むニワトリは、きちんと生かしておく必要がある。

──では、日本の出版業界は何をすべきなのか。

 独自のプラットフォームも模索するべきだし、アップルのような会社に対しては強い交渉力を持つべきだ。