マーケット縮小という逆風により、ワタミに代表される総合居酒屋が苦戦する中、増収増益を続けている居酒屋チェーンがある。ジャンルは異なれど、得意分野に特化して磨き続けるという共通項がある。各社のトップに、勝ち続ける秘訣を聞いた。第1回は磯丸水産を展開するSFPダイニングの佐藤誠社長。(「週刊ダイヤモンド」編集部 須賀彩子)

磯丸水産が一等地に出店しても儲かる理由SFPダイニング 佐藤誠社長 Photo by Ayako Suga

──この2年で大量出店し、100店を超えました。

 磯丸水産は、テーブルの上のコンロで貝などをお客さまご自身で焼いてもらう「浜焼きスタイル」の居酒屋で、海の家やキャンプに行ったような気分になれます。

 実際、漁港には漁師さんが集まって、とれたばかりの魚介を焼いて食べる場所がある。そうした雰囲気とシチュエーションを再現しました。

──店内に水槽もありますね。

 とれたての魚や貝を焼くので、圧倒的においしいわけです。そうした味も再現したいと思いました。普通の外食店では、冷凍・冷蔵庫で保管していますが、生きたまま水槽で管理することで鮮度を追求しました。

磯丸水産が一等地に出店しても儲かる理由水槽から揚げたばかりの貝が提供される

 水槽は、生け魚と貝との2層構造になっていて、これを開発するのに苦労しました。生け魚と貝とでは、温度管理からバクテリアの管理までノウハウが全く違い、しかもシビアで本当に大変なんです。

 われわれは、魚と貝に特化し、そこに力を全て注ぎ入れています。他社が途中から業態転換して似たような店をつくったところで、設備的にはまねできないでしょう。