旅や散歩の思い出をもっと楽しく記録しておきたい!そんな人のために、シリーズ累計50万部超『情報は1冊のノートにまとめなさい[完全版]』を刊行したばかりの日本一の「ノート作家」奥野宣之氏が、歩くのがもっと楽しくなるノートづくりのコツを伝授。連載最終回は、第3段階である「旅の後」のノートづくり。レイアウトや加筆、地図、年表などで、どう「楽しさ」を追加していくのか?

 

旅ノート・散歩ノートに<br />「学び」と「楽しさ」をどう加えるか?

この記事は著者の新刊書籍の出版を記念して再掲載しています。
『情報は1冊のノートにまとめなさい[完全版]』奥野宣之・著
本体1400円+税/ダイヤモンド社

 

時系列でレイアウトする

 この連載では、これまで旅ノート・散歩ノートのつくりかたを、「旅の前」「旅の途中」からご説明してきましたが、最後の段階は「旅の後」です。これまで集めた資料や切り抜き、道中メモなどをノートに貼っていきます。貼り方の基本はすべて「時系列」です。切り抜きも道中メモも、すべて「左上から右下へ」という、横書きのノートをページ順に並べて貼っていきます。たとえば、博物館に行ったあと、周辺を散歩しながら買い物して帰ってきたなら、

1. 博物館パンフレットの切り抜き写真
2. 散歩しながら書いた道中メモのカード
3. 買った雑貨のタグ

 という「並び」になります。時系列にするのは、簡単に「ストーリー」ができるからです。切り抜きやメモを好きなように並べて展開を考えるより、素直に時系列で並べたほうが、「朝、おにぎりを作って出かけ、昼に博物館に行って、夕方まで散歩して帰ってきた」という流れが簡単に整理できます。

 ノートのレイアウトは、「文字ばっかり」や「写真ばっかり」は、なるべく避けて、適度な情報量になるようにしておきます。というのも、「情緒」だけだと、ノートを見ても、風景写真や絵を眺めているようなもので、知的な興奮がありません。では、「興味」ばかりではどうかというと、今度は、文字や数字だらけの「取材メモ」みたいになってしまって、かなり「うるさい」。

 このバランス感覚は、新聞の「イメージ写真」を考えてみればわかりやすいでしょう。イメージ写真とは、論説や分析の記事に出てくる「雰囲気もの」の写真のこと。たとえば、最近の政治の動きなどを振り返る記事に、野党、与党の代表の顔のアップ、背景には国会議事堂といった合成写真をあしらったりしているようなものです。言ってしまえば、余計なものかもしれませんが、この写真があるから読み手は紙面が活字で埋まっているより親近感がわくし、記事もイメージしやすくなるわけです。

右と下に余白を作る

 切り抜きやメモを貼るときは、その右と下にやや余白を取っておきます。たとえば以下の写真のような1行か2行くらい書き込めるようなスペースです。このスペースに、切り抜きやメモの説明、振り返っての感想などをしばらくしてから書き加えていきます。

旅ノート・散歩ノートに<br />「学び」と「楽しさ」をどう加えるか?切り抜き写真を貼る際に「右」と「下」に余白をつくっておき、振り返って改めて感じることなどを書く。

 加筆しない場合でも、このくらいのスペースなら違和感がないと思います。右側にスペースを取るのは、左側の切り抜きや資料を見ながら、右手で文字を書くことができるからです。ささいなことですが、「見ながら書ける」ということは意外と重要です。

 いざペンを持って、建物の写真を貼った横にコメントを書く場合でも、写真を見つめながら「結局、この建物のどこが気に入ったんだろう?」と考えてみれば、「屋根の下にある彫刻が全体の印象を引き締めていたんだな」などと発見すること出てきます。写真が右手で隠れていると、こうはいきません。また、感想を書くのが面倒でも、貼り付けた下に「○○の記念碑」などとタイトルくらいは入れておいたほうがいいでしょう。

 僕の経験でも、自筆の「道中メモ」は、貼っておくだけでも当時の状況がわかるのに対し、切り抜きは、時間が経つとわからなくなることが出てきます。だから、どこの写真か、何を説明している文章か、といったことを簡単に書いておくことをすすめます。「7月24日PM訪問、観音寺」程度でいいと思います。このようにして、素材を切ってノートに貼るだけで「即席ノート」ができあがります。加筆スペースを取っておくと、何か書きたくなってくるかもしれません。その「もっと記録しておきたい!」という感覚こそノートづくりの楽しさです。