下町散歩や歴史散策がブームとなり、日々を記録するライフログも話題を集めるなか、旅や散歩を記録しておきたいというニーズが増えている。シリーズ累計50万部超『情報は1冊のノートにまとめなさい[完全版]』を刊行したばかりの日本一の「ノート作家」奥野宣之氏が、歩くのがもっと楽しくなる旅ノート・散歩ノートのつくりかたを伝授する。第3回は、第2段階である「旅の途中」のノートづくり。何をどう記録すれば、あとで楽しく見返せるのか?
この記事は著者の新刊書籍の出版を記念して再掲載しています。
『情報は1冊のノートにまとめなさい[完全版]』奥野宣之・著
本体1400円+税/ダイヤモンド社
日本を外国人観光客のように歩こう
第2回で紹介したように、行きたいところや、自分のあこがれ、熱意をノートに蓄積していったら、次は実際に旅や散歩に出かけましょう。連載第3回では、「歩き出してから」「旅や散歩の途中」のノートづくりについて説明していきます。
歩く上でぜひ意識しておいてほしいのが、まず「いつもと違う目」で物事を眺めるということです。視点を変えるだけで、見えてくる世界が大きく変わるのです。実は、僕がそんなことを考えるようになったのは、海外旅行がきっかけです。
新婚旅行で、はじめてあこがれのスペインに行き、ミハスやトレドといった情緒ある街を歩いたとき、こう思いました。「こんなすてきな街で暮らせる人はいいな、寝ても覚めてもこの雰囲気を味わえるなんて、天国じゃないか」
しかし、逆の立場で考えてみれば、スペイン人の中にも日本を観光して、「大阪や奈良で暮らしたい」「一時間で京都に行けるなんて羨ましい!」と思う人がいてもおかしくないはずです。そう考えれば、日本に暮らしている自分は、実はすごく恵まれた、すばらしい体験をしているのではないか。いや、すぐにでも外国人のような目で、街や景色を見るようにしないと、もったいない!
いつも見ている地元だって、はじめて日本にやってきた外国人になりきって散歩してみれば、建物を見ても、ベランダの洗濯物を見ても、おもしろくてたまらないでしょう。東京だって、僕のような田舎育ちから見れば、「驚愕すべき人類史上最大の都市!」だし、地方の若者から見れば、「夢にまで見たあこがれの街」なわけです。
このように、外国人になりきって歩いたり、なりきって観察すれば、スーパーに行って帰ってくるだけでも、刺激的な体験になるでしょう。だから、もしあなたが、なかなか旅行をする時間がないとしても心配ありません。近所の散歩であろうと、何度も行った公園だろうと、どんな「旅」でも考え方次第でおもしろくなるからです。
「部屋の中でも世界は撮れる」という写真家の名言があります。同じように「観光地でなくても特別な体験はできる」わけです。何がおもしろいか、どこが見どころか、すべて自分で決めて、主観的に楽しめばいいのです。