「子供が感染しても大丈夫だったのに・・」
鼻かぜ・のどの痛み放置に要注意

長引く鼻風邪から新型インフルエンザに感染
大事なプレゼンに欠席してしまった
サラリーマンCさん(40歳)
  

 通勤にコートが必要になり、自宅では床のホットカーペットをつけ空気が乾燥し始める季節になった頃、Cさんのオフィスでは例年通り風邪がはやりはじめた。

 Cさんは家族を連れて日帰り温泉に行った翌日から、鼻がグスグスしはじめた。のども痛い。職場で流行っている風邪だろうと簡単に考えて、月曜日から金曜日まで普通に働いた。しかし、鼻が詰まっているため夜中に口をあけて寝ているようだった。土曜日の朝、のどの痛みが強くなってきたので耳鼻科を受診した。

 病院で熱を計ると37℃。微熱ではあるが、医師が念のためとインフルエンザの簡易検査をした。鼻の奥に棒を入れて検査はすぐ終了。その後医師からのコメントが「インフルエンザの検査では現段階ではマイナスです。薬を出しますから様子をみてください」と言われた。もともとインフルエンザだと思って来院したわけではなかったので、親切な医者だと思いながらその日は自宅で安静に過ごした。

 その夜、容態は急変した。息苦しいほどの鼻水・鼻づまり、じっとしていられないほどの寒気、耐えがたい筋肉痛。体温計のデジタル表示は39.6℃を示している。小学生のときのはしか以来の高熱。あわてて救急病院に駆け込むと、インフルエンザA型の検査で陽性。呼吸の乱れや血中酸素飽和度の低下はみられなかった。

 妻が「昼間行ったお医者さんでインフルエンザは陰性だったのですが…」と言うと医師は冷静に告げた。

 「インフルエンザは、発症からの時間経過によって検査キットで反応しないことがあるので、このようなことが起こります。ご主人の場合は、風邪で免疫が下がっていたところに、(新型)インフルエンザが感染したのではないかと思います。鼻が詰まっていると常に口のあけた状態、口呼吸になりさらにのどに炎症が加わるとウイルスがつきやすくなるのです」

 ただの鼻かぜ、のどの痛みだと思っていたのに、それが(新型)インフルエンザに感染しやすい環境をつくるとは考えもしなかった。Cさんの会社では新型インフルエンザになった社員は1週間の出社停止が義務づけられている。来週は、部下と半年も準備を進めてきた大切なプレゼンがある。それに参加できないと思うとCさんの身体から力が抜けた。