早期離職する若手が減らない。この問題を解決するためには、就職活動、そして新卒社員の導入教育を、学生から社会人への「移行」の問題と捉える必要がある。

無理があった「8月採用選考開始」

 後ろ倒した「8月採用選考開始」では問題があったということで、来年(2016年)から2カ月前倒して6月にしようと、経団連が表明しました。

 すでに多くの傘下企業が、来年の会社説明会会場の予約をしていることは、彼らも理解していると思いますので、採用広報活動の開始時期(3月)は、おそらく変えられないでしょう。

 1年で見直す決断をしたことは、ある意味、すがすがしいことです。

 しかし、今年度の新卒採用活動で皆が学習した最大のことは、時期論で新卒採用を何とかしようとすることの「むなしさ」と「やるせなさ」でしょう。

 そして、内定数を大幅にショートした一部の企業にとっては、「お人よしでは新卒採用市場で勝てない」という現実を突きつけられた年でもあります。

 次年度も相変わらずの時期論の押しつけ、「決めた時期」が悪かっただけという勘違いの論理で、新卒採用の大きな流れは進められることになるだろうと思います。

 ですが、企業側も大学側も、そして学生も、「時期」に対する目線は間違いなく冷やかになるでしょう。どう締めつけがあるかにもよりますが、時期論による新卒採用活動制御の歴史の崩壊の始まりが、起こってくるのではないかと思います。

 その根底には、もっと本質的に「新卒採用はどうあるべきか」ということを真剣に考えている採用担当者、大学関係者が増えているという、明るい現実があります。