天下りの巣窟・URが民営化していれば
口利きはできなかった

甘利大臣“口利き問題”の背景にある<br />公務員制度改革の抜け穴甘利大臣はどう説明するのか。写真は1月26日、衆議院本会議での同大臣
Photo:Natsuki Sakai/AFLO

 甘利経済再生相の進退問題が、今国会で急浮上した。独立行政法人都市再生機構(UR)の補償交渉に関して、建設会社から口利きを依頼され、その謝礼として甘利事務所が現金100万円を受け取っていた、と週刊文春が報じたものだ。これについて「政治資金規正法違反」「あっせん利得処罰法違反」の疑いが生じている。甘利氏は、この疑惑に関する調査結果を1月28日に公表するとしている。

 本件について、あまりに準備が整いすぎており、政治的に甘利氏がはめられたという意見もある。ただ、本コラムでは、甘利氏の進退などの政局ではなく、口利き問題の背景を探り、その再発防止策を考えたい。

 本件が報じられるとおりであれば、まさしく典型的な口利き事例である。そして、筆者が役人時代に関わってきたことのなかでも、民営化と公務員制度改革に大きく関係している。

 まず、民営化であるが、URが民営化していれば、甘利事務所も口利きはできなかっただろう。逆に言えば、あっせん利得処罰法違反では、URのような政府関係法人は、口利きの対象として明確に規定されている。

 URは、独立行政法人という政府の99.8%子会社である(0.2%は地方自治体)。理事長は上西郁夫氏で民間出身となっているが、副理事長には元国土交通省国土政策局長の花岡洋文氏が役員出向で入っている(参考)。また、理事長ポストは代々、旧建設省の次官クラスの天下り先になっていた。

 さらに、理事長、理事10名のうち半分の5名が役人の役員出向である。役員出向は民主党政権になってお墨付きを得たもので、国家公務員のまま出向という位置づけだから、「天下りではない」との屁理屈になる。