旅行比較サイトのカヤックとアメリカン航空が、互いを相手取って訴訟を起こしている。
カヤックは、航空券、ホテル、パッケージ旅行、レンタカーなどの料金を縦横に比較し、ユーザーに最適の選択を与えることを目的に、2004年に設立されたサイトだ。その後、着々とアクセス数を増やし、今やユニーク・ビジター数は毎月およそ600万人。大手オンライン旅行代理店の牙城を突き崩す新興勢力とみなされている。
冒頭の訴訟のきっかけは、カヤックがアメリカン航空の航空運賃を提示する際に、アメリカン航空自身のサイトではなく、オンライン旅行代理店サイトであるオービッツのリンクを掲載していたこと。オービッツのサイトには確かにアメリカン航空の航空運賃が提示されていたが、カヤックがこの情報を再掲載したため、アメリカン航空はオービッツとカヤックに二重の照会料を払うことになったというのだ。
これに対してカヤックは、アメリカン航空が第三者の旅行代理店による航空運賃掲載の取り止めを請求したのは、公正な検索結果の提示を阻害するものだと返している。
何やらややこしい話で恐縮だが、インターネットの旅行業界は実際、非常に複雑な構造に変化しつつある。リアルの旅行代理店がオンラインの旅行代理店に取って代わられたというのは一昔前の話。現在起こっているのは、航空会社やホテルと、オンライン旅行代理店、そして新興勢力のオンライン旅行比較サイト、あるいは旅行検索サイトと呼ばれるサービスが繰り広げる仁義なき戦いなのだ。
新興勢力の旅行比較サイトには、カヤックの他にもワントラベルやモビッシモやヤプタといったサイトがある。いずれも提供しているサービスは目的に合った航空券やホテルの部屋を検索して料金を比較すること。航空券やホテル宿泊予約などの代行サービスは提供してない。リンクするサイトは、航空会社やホテルのサイト、オンライン旅行代理店などさまざまだが、カヤックは中でもその使いやすさでダントツの注目を集めているのだ。