睡眠時無呼吸症候群という病気をご存知だろうか。

 睡眠時に気道が詰まり、10秒以上の呼吸停止あるいは低呼吸(換気量が50%以下)を繰り返す症状だ。7時間の睡眠で30回以上または1時間に5回以上の無呼吸および低呼吸がある場合、睡眠時無呼吸症候群(以下、無呼吸症)と診断される。

 日本国内では人口の2%、約240万人の患者がいるといわれている。男性に多く、また肥満と加齢によって症状が悪化するため中高年男性の患者の比率はより高いものとなる。

ストレスと不眠で悪循環に陥る 御茶ノ水呼吸ケアクリニックの村田朗院長は、そのメカニズムについてこう説明する。

 「舌は筋肉の塊。覚醒時には緊張しているが、睡眠時には弛緩し重力で垂れ下がる。すると舌根が気道を塞ぐかたちになり、そこを空気が通るので震えていびきをかく。さらに舌が落ちて気道をぴたっと塞いでしまうのが無呼吸症だ」

 原因は、気道が狭い、舌が大きい、顎が小さい(弛緩した舌の逃げ場がない)など遺伝的な要因が大きいが、肥満により喉の周りに脂肪がつく、加齢により筋力が弱まる、飲酒により筋肉が緩むといった要因の場合もある。

 つまり遺伝、肥満、加齢、生活習慣の悪化などの要因が重なり合い重症度を増していく。後述するが、無呼吸症とメタボリックシンドロームは相互に関係があり、悪循環に陥っていく。