パイオニアが、車載機器事業における業務・資本提携、将来的には事業統合も視野に入れた協議に入っている。交渉先として、三菱電機、クラリオン、アルパイン、その他商社の名が挙がるが、「三菱電機が大本命」(パイオニア関係者)という。
パイオニアは今期、プラズマテレビ事業と車載機器事業の両方の不振により、最終損失1300億円を計上する(売上高は5600億円)。最終赤字は5期連続であり、株主資本比率は18.4%と、前年同期の42.9%から急速に悪化する。
そのうえ、テレビ事業の撤退コストを主とする構造改革費用の積み増しが急務であるうえ、2011年3月には609億円もの社債の償還期限が到来する。もはや、パイオニアは他社からの財務支援なくして存続不可能な状況だ。
本来ならば、支援先の最右翼となるはずの筆頭株主シャープは、今期は1000億円の最終赤字に転落する見込みで、パイオニアに構っている余裕はなくなった。
そこで浮上したのが三菱電機との提携である。
競合他社にとって、パイオニアの市販の海外ネットワーク、ホンダ向けOEM販路は魅力的であり、業務提携には皆、興味を示すはずだ。だが、パイオニアがなによりも欲しいものはカネであり、パイオニアもメインバンクも資本提携を前提にしている。となれば、おのずと相手は限定される。
クラリオン、アルパインの企業規模では支え切れないし、それぞれの大株主である日立製作所、アルプス電気の台所事情は厳しい。財務基盤が比較的強固であり、かつ、メインバンクが同じ三菱東京UFJ銀行の三菱電機で決着するのが自然な流れだろう。
事業統合が実現した場合には、「パイオニアの産業活力再生特別措置法の認定を前提とした、公的資金を活用する資本増強策も視野に入れている」(パイオニア関係者)という。
(『週刊ダイヤモンド』編集部 浅島亮子)