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岸博幸のクリエイティブ国富論

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マスメディアよ、頑張れ!ジャーナリズムの貧困が政策をダメにしている

 今週は、マスメディアの再生の方策を説明しようと思っていたのですが、前回の“ネットとジャーナリズム”というテーマに意外と反響がありましたので、私のもう一つの問題意識である“ジャーナリズムと政策”について説明させていただきます。

経済危機の伝え方

 今週、日本の2008年10-12月期のGDP成長率が発表されましたが、前期比年率で12.7%減という第一次石油危機以来の大きなマイナスでした。海外と同時期で比較すると、米国は3.8%減、欧州は5.7%減、英国は5.9%減ですので、先進国経済の中で日本が一番悪いことが明確となり、すべてのメディアがそうした報道をしました。

 でも、ちょっと待って下さい。

 先進国経済の中で日本のが一番悪いことは、GDP成長率が発表されて初めて明らかになった訳ではありません。例えば昨年1年の株価下落率は米国が37%、欧州が39%、日本が41%であり、日本経済のパフォーマンスが一番悪いことは既にこうしたデータから証明されています。金融危機の前から日本経済が最も悪く、危機後もそれは変わらないのです。それなのに、なぜそういう事実が少しも報道されず、GDP成長率発表まではどこのメディアも「米国経済が大変」「中国経済も大減速」といったような、余計な他国の心配をする報道ばかりをしたのでしょうか。

 かつ、多くのメディアは判で押したように、日本経済のパフォーマンス悪化の原因を米国発の金融危機に求めていますが、それで米国以上に日本が悪い原因を説明できるのでしょうか。

 それは無理です。日本の政策の失敗の連続が根本的な原因なのですから。金融危機以前では貸金業法改正や建築基準法改正などが典型例です。金融危機後も、例えば日本の財政出動は極度に少なく、政府は経済対策の規模を75兆円と言いますが、実際の財政出動は10兆円程度でGDPの2%です。米国や中国などの財政出動はGDPの5%以上です。金融政策も、昨年12月のマネーサプライの前年同月比増加率を見ると、日本は1.8%ですが、米国は9.5%、欧州は7.8%、英国は16.8%です。なぜメディアは、日本固有の不況の原因である政策の失敗をちゃんと報道しないのでしょうか。

与謝野大臣への評価

 そうした中、中川財務大臣が突然辞任しました。国際舞台であのような醜態(政府の会議などで見慣れた光景ではありますが)を晒したらやむを得ませんが、後任が与謝野大臣となりました。メディアは、中川批判と政権の崩壊ばかりを報じていますが、それで本当にいいのでしょうか。

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著者プロフィール

岸 博幸
(慶應義塾大学大学院メディアデザイン研究科教授)

1986年通商産業省(現経済産業省)入省。1992年コロンビア大学ビジネススクールでMBAを取得後、通産省に復職。内閣官房IT担当室などを経て竹中平蔵大臣の秘書官に就任。不良債権処理、郵政民営化、通信・放送改革など構造改革の立案・実行に関わる。2004年から慶応大学助教授を兼任。2006年、経産省退職。2007年から現職。現在はエイベックス非常勤取締役を兼任。

この連載について

メディアや文化などソフトパワーを総称する「クリエイティブ産業」なる新概念が注目を集めている。その正しい捉え方と実践法を経済政策の論客が説く。

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