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経済ジャーナリスト 町田徹の“眼”

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専務が三井住友銀行の社宅住まい
日本郵政に持ち上がる新疑惑

 そして、肝心の発行事務の委託先の選定は、民営化の準備段階から始まっていた。つまり、準備企画会社の日本郵政で進められたのだ。このときの主要メンバーに、西川社長のほか、今回社宅住まいが明らかになった横山執行役が含まれていたことはいうまでもない。さらに、眼を引くのは、やはり旧住友銀行で主に営業畑を歩んだあと、当時の住友クレジットカードサービス(現三井住友カード)で専務、副社長を歴任、その後、三井住友銀行系のSMBCコンサルティング会長を務めていた宇野輝氏もこの当時のメンバーに含まれていた。

 そして、ジェーシービーと三井住友カードの2社だけを新たな提携先に選んだのである。

 これはそれまでの郵貯事業のクレジットカード業務の実態を知る者たちには、驚天動地の決定だった。というのは、昭和50年代初頭から始まった郵貯の提携カードの発行実績をまったく無視した決定だったからである。

 「部外不公表」とされた当時の状況の一端をご紹介しよう。2007年9月末現在で、最も高い実績を誇ったのは、クレディセゾンで、累計発行枚数は422万1425枚(シェア45.7%)。次いで、三菱UFJニコス154万7908枚(同16.8%)、オーエムシーカード116万7509枚(同12.6%)の順となっていた。

 これに対し、ジェーシービーはわずか22万8647枚(同2.5%)で6位に甘んじていた。さらに、三井住友カードとなると、わずか1万9473枚(同0.2%)と18位の泡沫業者に過ぎなかった。

 また、クレディセゾンなどの共用カードでは、発行コストは提携先が負担し、ゆうちょはコストを負担していなかった。ところが、「ゆうちょが自前カードを発行する制度に代わった途端、今度は、そのカードの発行事務費用を三井住友カードに支払う仕組みになった」(総務省幹部)というのである。

 当然、郵貯の現場はこの決定におおいに反発した。というのは、クレディセゾンは郵貯との提携カードの普及のために会員年会費無料を維持してきたばかりか、郵便局の現場でのカード会員募集のためのアルバイトの使い方などノウハウを惜しみなく提供してきた経緯などがあったからだ。昨年5月のスタートの際に、ゆうちょ銀行が「初年度100万枚」という目標を掲げたが、関係者は、これも「現場の反発を煽った」と実情を明かしている。

 紙幅もないので詳細は省くが、実は、こうした三井住友ビイキは枚挙に暇がない。例えば、郵便局の窓口が使う販売促進の文具・日用品の仕入先。これについては、従来、郵政ファミリーが独占し利権の温床とされていたので、挿げ替えるのは当然のことだったと思われる。ただ、提携先を挿げ替えた結果、「以前より、仕入れ価格が上昇した」と話す郵便局長が意外に多く存在することは笑えない事態と言わざるを得ないだろう。ちなみに、この仕入れ会社は都内に本社を置く企業だが、メーンバンクが三井住友銀行なのだ。

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著者プロフィール

町田徹
(ジャーナリスト)

1960年大阪府生まれ。神戸商科大学(現兵庫県立大学)卒。日本経済新聞社に入社後、記者としてリクルート事件など数々のスクープを連発。日経時代に米ペンシルバニア大学ウォートンスクールに社費留学。同社を退社後、雑誌「選択」編集者を経て独立。日興コーディアルグループの粉飾決算をスクープして、06年度の「雑誌ジャーナリズム賞 大賞」を受賞。「日本郵政-解き放たれた「巨人」「巨大独占NTTの宿罪」など著書多数。

この連載について

硬骨の経済ジャーナリスト・町田徹が、経済界の暗部や事件を鋭く斬る週刊コラム。独自の取材網を駆使したスクープ記事に期待!

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