ある国の元大臣だった老紳士から、指導者についてのお話を伺いました。そのかたのお話では、老子によるとリーダーには3タイプがあるそうです。
三流のリーダーは、「私に従わないと殺すぞ」または「クビにするぞ」と相手に恐怖を植え付け、暴力によって力ずくで従わせる指導者。二流のリーダーは「ウチの社長は人格者だ」「我がリーダーはすごい!」と銅像や肖像画を従業員が毎日仰ぐほどのカリスマ的指導者。では、一流のリーダーはというと、部下や仲間が「このプロジェクトは自分達で達成した」と感じることができる、「空気のような存在」の指導者だそうです。
私はてっきり、皆から敬い親しまれる「カリスマ的指導者」が一番だと思っていたからです。さすが、中国古典の教えには深いものがあります。先ほどもお話ししたタオイズム(=道教、老荘思想)も「陽より陰が大切」と説いており、それは「目に見えるものより、見えないもののほうが大切である」という意味です。ということは、一流のリーダーとは、部下の意欲を高め、彼らが自ら率先して仕事にとりかかるように指導する「空気のような存在」がよいのかもしれません。
世界の古典から
経営のヒントを学ぶ
このように東南アジアのできる男達は、「三国志」や論語を勉強しているようです。これは「歴史は繰り返す」ということ、また、「時代は変わっても人は変わらない」という考えが根底にあるからかもしれません。知り合いの華僑財閥のオーナーは、中国語が読めない華僑役員達に「三国志」をDVDでもよいから見るように奨励しています。
また、聞くところによると、美智子皇后様は、現皇太子殿下の「帝王学」の一環として、殿下が幼稚園の頃より中国古典を大学教授について学習するようになさったそうです。一方の皇室の歴史は、高校になってから学ばれたそうですので、やはり、人の上に立つ一流の指導者になるためには、中国古典が必要なのでしょう。
では、中国系ではない世界のできる男達は何を読むのでしょうか?
世界第1位のベストセラーが何かご存知でしょうか?
それは、キリスト教の聖書です。非アジア系のできる男達は、子供の頃から聖書を読み、大昔からの人間、親子関係、指導者、罪人などの物語にふれているのです。「歴史は繰り返す」のですから、文化や宗教、思想に関係なく、中国古典や聖書、日本史や世界史に親しむことをお勧めします。