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野口悠紀雄 未曾有の経済危機を読む

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5000億の政府支援でかりそめの収益回復?
もはや長期下落は不可避の自動車産業

 今年になってからの政府の自動車購入支援策(いわゆるエコカー購入補助金とエコカー減税)の恩恵で、自動車産業は一息ついている。経済が少し落ち着いているのも、これによるところが大きい。しかし、一産業に偏った支援をいつまでも続けるわけにはゆかない。支援策がいずれは終了することを考えると、自動車産業の将来はけっして楽観できない。自動車産業を最重要の産業とする日本経済にとって、これは重大な問題である。以下では、これについての定量的検討を行なおう。

 まず、乗用車の生産台数の推移を見ると、【図表1】のとおりである(「自動車統計月報」より)。

 普通車の生産は、2008年9月には約52万台だったが、経済危機によって一挙に減少し、09年3月には約18万台と、3分の1程度になってしまった。ところが、それ以降増加し、09年9月には約39万台にまで回復している。

 ところで、支援策のメリットがあまりない軽四輪車の生産は、この期間にほぼ10~12万台の水準であまり大きな変動なく推移している。この大きな違いを見れば、乗用車の09年3月以降の増加は、そのほとんどが自動車支援策によるものだったと考えられる。

購入支援策が
鉱工業生産指数をかさあげ

 つぎに、鉱工業生産指数の推移を見ると、【図表2】のとおりである。

 鉱工業全体の指数は、08年2月のピーク110.1から09年2月の69.5まで36.9%下落した。その後09年9月の85.7まで回復している。これは、08年2月の77.8%の水準である。

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著者プロフィール

野口悠紀雄
(早稲田大学大学院ファイナンス研究科教授)

1940年東京生まれ。63年東京大学工学部卒業、64年大蔵省入省、72年エール大学Ph.D.(経済学博士号)を取得。一橋大学教授、東京大学教授、スタンフォード大学客員教授などを経て、2005年4月より早稲田大学大学院ファイナンス研究科教授。専攻はファイナンス理論、日本経済論。主な著書に『「超」整理法』シリーズ、『資本開国論』『モノづくり幻想が日本経済をダメにする』等がある。 野口悠紀雄ホームページ

------------最新経済データがすぐわかる!------------
『野口悠紀雄 使える!「経済データ」への道』

この連載について

突如として世界中を襲った経済危機。激流に翻弄される日本経済はどうなってしまうのか? なすべき対策はあるのか? 100年に1度の未曾有の事態を冷静に分析し、処方箋を提示する野口悠紀雄の緊急連載!

野口教授が緊急提言!「未曾有の経済危機 克服の処方箋―国、企業、個人がなすべきこと」

【緊急出版!】この危機は、国にとっても個人にとっても真の改革を実現する最後のチャンス! 世界を襲った戦後最大の経済危機。その本質は、相互依存的に膨張した日本の「円安バブル」、アメリカの「住宅バブル」、中国の「改革開放バブル」の連鎖崩壊だった! 1680円(税込)

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