「Twitter(ツイッター)」が凄いことになっているらしい。「らしい」という曖昧な表現をするのは、その実態がいまいちよく見えないからだ。

 確かに海の向こうからは派手な話題がどんどん飛び込んでくる。ツイッターの活用で、オバマが大統領選で巨額の選挙資金を集めたとか、モルドバの議会選挙やイランの大統領選挙に対する抗議活動が世界に知らされたとか、パソコンメーカーのデルが2年間で300万ドルを売り上げたとか、2009年に入って利用者が800%以上も激増しているとか・・・。

 そんな話を聞くと、ツイッターが世界を大きく変えつつあるような動きは感じるのだが、日本ではまだまだ話題先行の感が強い。

あなたの「つぶやき」が
仲間と共有できる

 そもそもツイッターのことをよく知らない人も多いだろう。念のため説明しておくと、これはユーザーが140字以内で発言し、その発言(「つぶやき」という)を登録者(フォロワーという)のパソコンや携帯電話の画面に表示するという仕組みだ。

 例えば、筆者がツイッターで「いま、ツイッターについての原稿を書いてます」とつぶやくと、筆者のつぶやきを表示できるように登録している人(フォロワー)のパソコン、携帯電話の画面に同じつぶやきが表示さて、「ああ、竹井はいま、原稿を書いているんだな」ということが分かる。そんな仕組みである。その気があれば、フォロワーは筆者に対して「頑張ってね~」という応援メッセージを返すこともできる。

 たぶん、こんな説明だけ読んでも、ツイッターの何がおもしろいのか、さっぱり分からないと思う。筆者も最初はツイッターの何がおもしろいのか分からなかったし、現在、ツイッター伝道者として著明な方々も最初はそうだったと告白している。

 まあ、今回の記事はツイッターのおもしろさを伝えることが目的ではないので、説明はこれくらいにして、ともかく今年、爆発的に普及しているツイッター(一説では、ユーザーの75%が今年に入ってから使い始めたらしい)の、社会貢献的な可能性を考えてみたい。

社会貢献における
「ツイッター」の可能性

 なにしろ、これまで登場してきた多くのネット・サービス=ウェブサイト、メルマガ、ブログ、SNSなどは社会セクターの活動に大きく役立ってきた。クリック募金や「KIVA」(先進国の人間が途上国の起業家に少額融資することとで経済発展を促すシステム)など、ネットでなければできない新しい仕組みも生み出してきた。ツイッターがネット・ライフの中核的存在になるとすれば、社会セクターに与える影響も大きくなるはずだからだ。

 まず、ツイッター界の総本山・米国ツイッター社の活用例を紹介したい。今年2月には、途上国にキレイで安全な飲料水を提供するNPO「charity:water」への寄付金集めを目的としたツイッター・ユーザーのオフ会を実施。世界202ヵ所で開催され、17000人が参加し、総額25万ドルものファンドレイズに成功したという。

 また、ツイッターには「おすすめユーザーリスト」というものがあるが、注目すべき社会起業家、ソーシャル企業、NGOをリストアップしている。このリストに掲載されることの効果は絶大で、たとえばリストの中のひとつ、先述した「KIVA」などは、リストアップされた瞬間、毎分500人ものペースでフォロワーが増え続け、代表のマット・フラナリー氏は「スパム攻撃かと思ったよ」とコメントしている。11月8日現在、KIVAには約14万人のフォロワーがいる。