【第22回】 2008年03月27日
「共犯者」都議会は新銀行東京400億円公金投入を許すしかなかった
そこで、窮した石原陣営は、当時の豪腕な副知事を中心に「箇所付け」よろしく、選挙を控えた議員たちから、進んで「融資先陳情」を受け入れ始めたのだ。
都議たちにとっても渡りに船だった。地元経済は疲弊している。かつての後援会組織は壊滅し、支持者でもある中小企業経営者たちからは陳情の嵐がやって来ていた。
そうした中、新銀行東京が設立された。利用しない手はない。
こうして、石原のメンツと、選挙を控えた都議の利害が一致し、「共犯」として、展望のない新銀行の運営を後押ししたのである。
旧経営陣の責任追及だけで
終わらせてはいけない
当時、自民党と公明党のそれぞれのドンは、自らの選挙区にある、債務返済不可能な不良企業のいくつかを、副知事とともに「融資リスト」に押し込んだ。2005年当時の筆者の取材ノートに、その一部リストが残っている。こうした「口利き」が横行したため、新銀行東京は、その設立当初から経営難を噂されることになったのだ。
これで、本日、都議会与党が、新銀行東京への追加融資を認めた理由も理解いただけたと思う。また、東京都が、融資先などの記録の提出を頑なに拒んでいるのも納得できるだろう。
確かに、第一義的には、新東京銀行の経営悪化の責任は、旧経営陣にある。
また、政治が結果責任である以上、都知事や都議会の責任も免れない。そこに見落としていることがあるとしたら、それが冒頭に記した両者の「共犯関係」だ。
すなわち、旧経営陣は初めから経営が難しいと思われる銀行を押し付けられていたのだ。それは、ある意味「詐欺」に近い。
確かに、責任追及は行われるべきである。だが、経営責任ばかりに目を奪われていると、肝心の本質が見えなくなる。
設立にいたるまでの過程、そして都市銀行の道義的責任、なにより、利権を貪った者たちへの追及こそ、現在のマスコミ報道に欠けているものではないだろうか。
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著者プロフィール
- 上杉隆
(ジャーナリスト)
1968年福岡県生まれ。都留文科大学卒業。テレビ局、衆議院議員公設秘書、ニューヨーク・タイムズ東京支局取材記者などを経て、フリージャーナリストに。「宰相不在 崩壊する政治とメディアを読み解く」「世襲議員のからくり」「ジャーナリズム崩壊」「官邸崩壊 安倍政権迷走の一年」など著書多数。最新刊は「民主党政権は日本をどう変えるのか」(飛鳥新社)。
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