ゴルフコースの増加は、その国の民主主義の成熟度に比例し、平和の構築にも寄与する――。
これは、米政府内で真剣に研究されている考察のひとつだ。
最近も、米上院議員のひとりが、アフガニスタンの紛争地帯のど真ん中で経営されているゴルフ場について言及し、「アフガニスタンに平和をもたらす一方法として、ゴルフは小さくない役割を果たしている。ゴルフコースのあるエリアからは貧困や紛争が消えていることに着目すべきだ」と独自の戦略論を披瀝したばかりだ。
思えば、人類は、ボールとクラブさえあれば、地球上のどこででもゴルファーに変身することができた。
南極観測隊員が氷の上でロングドライブを放ったこともあれば、アポロの宇宙飛行士が月面でアイアンを打ったこともある。
ゴルフ超大国の米国では、歴代大統領のほとんどがゴルファーである。
ケネディ大統領はホワイトハウスの中庭に秘かに練習コースを作り、フォード大統領はベンホーガンとラウンドするために「エアフォース1」(大統領専用機)を飛ばし、オバマ大統領はイラクの米兵慰問の途上でクウェートに立ち寄り、お忍びでラウンドしている。
米国の繁栄の象徴としてゴルフがあるのは紛れもない事実だ。米国だけではない。
インドやパキスタン、あるいは南米などのかつての紛争地帯においても、小規模ながらもゴルフ場の建設とともに安寧と繁栄が訪れた場所が存在する。そうした地域には平和の到来と同時に、経済的な発展もやってくる。
現在、ゴルフと繁栄に関する、もっとも顕著な例はある国を訪れれば顕著に見られる。
先週(11月末)、筆者は中国で開かれたオメガミッションヒルズワールドカップを取材した。今年で55回目を迎えるワールドカップが中国広州で開かれるのは2007年より3度目だ。1984年に初めてゴルフコースのできた中国は、わずか四半世紀の間に巨大なマーケットに変貌しようとしている。