不動産を高値で売却する方法[2019年]
2018年4月13日公開(2018年11月6日更新)
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ザイ・オンライン編集部

「生産緑地」は、維持するべき? 売却するべき?
"相続税の納税猶予"を受けているか否かが分かれ目

「生産緑地」の指定が2022年から順次、30年の期限を迎える。新たにできる「特別生産緑地」として10年ごとの延長を選ぶのか、フリーハンドを得て宅地への転用、有効活用、売却などを考えるべきか、難しい判断を迫られる。

「生産緑地」のメリットは、農地以外への転用が禁止される一方で、相続税の支払いを猶予してもらえること。指定を外されて生産緑地でなくなると、支払いが猶予されていた相続税だけでなく、猶予された期間に応じて所定の割合を乗じた税金(利子税)を上乗せして支払わねばならず、大きな負担となる。

「生産緑地」の指定を受けると、
固定資産税と相続税が大幅に軽減される

 大都市周辺で農地を見ることは少なくなったが、いまだにところどころ畑が残ったりしている。これが「生産緑地」だ。

 三大都市圏の特定市の農地のうち、一定の要件を満たすものについて地元の自治体が指定したものである。

 「生産緑地」の指定を受けると、農地以外に転用することが原則禁止される一方、固定資産税と相続税が大幅に軽減される。

 そもそも、固定資産税において農地は、「一般農地」と「市街化区域内農地」に区分される。「一般農地」は農地として使われることを前提として評価(農地評価)されるので、固定資産税も軽い。

 一方、「市街化区域内農地」は都市部の市街化区域にあり、固定資産税は宅地並みに評価・課税されるのが原則。相続税についても、「市街化区域内農地」は周辺の類似した宅地の評価額が基準になり、本来の税額はかなり高額だ。

 しかし、「市街化区域内農地」は「生産緑地」に指定されることで、固定資産税は宅地並みに評価・課税される場合に比べて固定資産税の負担を100分の1以下に抑えられる。

 相続税についても、「生産緑地」の指定を受けていると、本来の相続税額の大部分が、一定の要件を前提に支払いを猶予することができる。たとえば東京都では、土地の相続税評価額のうち、㎡当たり、田は900円、畑は840円、採草放牧地は510円を超える部分の相続税の納税が猶予される。

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「生産緑地の2022年問題」とは?

 このように「生産緑地」に指定された都市部の農地は、固定資産税や相続税が大幅に軽減されるメリットがあった。

 しかしそれは同時に、「生産緑地」を所有する農家にとって、基本的にずっと農業を続けなければならないなどの制約がともなう。

 ただし、以下のいずれかのタイミングであれば、「生産緑地」の所有者は市区町村に対し、「生産緑地」の買取りを申し出ることができるとされている。

(1)指定告示日から30年経過したとき
(2)主たる従業者が死亡したとき
(3)主たる従業者がなんらかの故障によって農業に従事することが困難になったとき

 市区町村は、農家から「生産緑地」の買取り申出があると、「時価」で買い取らなければならないことになっている。

 だが、財政難を理由に買い取りされることはほとんどなく、通常は「生産緑地」としての制限が解除され、自由に建物を建てたり、宅地に転用したりすることが可能になる。

 特に、2022年には生産緑地が最初に指定されてから30年目を迎え、上記の(1)にあたる「生産緑地」は買取りの申出が可能になる。

 「生産緑地」を所有する農家が一斉に地元の自治体に買取りの申出を行い、多くが宅地として不動産市場で売り出されたり、新築アパートなどが建てられたりするのではないかと危惧されているのが、「生産緑地の2022年問題」だ。

 最近は大手ハウスメーカーやアパート専業メーカーが、「生産緑地」をテーマにしたセミナーを盛んに開催している。これはまさに、2022年以降の受注を狙って、「生産緑地」を所有している農家を囲い込もうという営業活動にほかならない。

"相続税の納税猶予"を受けているなら「特定生産緑地」へ

 30年の期限切れを迎える「生産緑地」について、地元自治体へ買取りを申し出る農家はどれくらいあるのだろうか。

 実際には、30年の期限切れを迎える「生産緑地」を所有する農家にとって、「"相続税の納税猶予"を利用している」か「していない」かが、大きな分かれ目になるといわれる。

◆「相続税の納税猶予を利用している」場合の有力な選択肢
生産緑地」の指定を再び受ける
 ※再び30年間、営農
特定生産緑地」の指定を受ける
 ※10年ごとに再申請
◆「相続税の納税猶予を利用していない」、あるいは、
相続人が死亡(相続税は免除)した場合の有力な選択肢
生産緑地の指定を解除して「売却」する
 ※買取り申出後、購入者がいない場合
生産緑地の指定を解除して「有効活用」する
 ※買取り申出後、購入者がいない場合

 「生産緑地」における相続税の納税猶予では、農地を相続した人(相続人)が生涯、農業を続けることが条件だ。その間、毎年、利子税(相続税の延納額に所定の割合を乗じて算出)が付くが、その相続人が亡くなったりした場合に相続税は免除され、利子税も遡ってなくなる。

 逆に言うと、三大都市圏の特定市の市街化区域にある「生産緑地」の場合、一生農業を続けなければ猶予された相続税は免除されない。もし、途中で「生産緑地」でなくなると、それまで支払い猶予されていた相続税に、それまでの期間分の利子税を合計した額を支払わなければなくなる。

 仮に、相続税で2000万円の納税猶予を受けて、その後の10年後に農業をやめたとしよう。利子税は時間の経過でどんどん加算されるので、納税猶予を受けていた2000万円だけでなく、プラス数百万円の利子税を支払うことになる。

 そのため、指定から30年経ち、買取り申出が可能な「生産緑地」であっても、相続税の納税猶予を受けている場合、買取りの申出はあまり現実的ではない。

 相続税の納税猶予を受けている場合は、指定から30年経ったとしても、従来の「生産緑地」の指定を再び受けるか、新たにできた「特定生産緑地」の指定を受けるというのが有力な選択肢だろう。

 「特定生産緑地」とは、2017年4月に都市緑地法等の一部が改正され、新たに設けられたもの。これは、市区町村が利害関係者の同意のもと、新たに「特定生産緑地」として指定を受ければ、買取り申出が可能となる時期を10年先送りすることができるとするものだ。

 この改正では、指定面積の要件を従来の500㎡以上から市区町村の条例によって300㎡まで引き下げることや、「特定生産緑地」内において農産物直売所や農家レストランなどの設置が可能になった。従来の「生産緑地」より使い勝手がよい。

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"相続税の納税猶予"がなければ、売却を含めて検討を

 一方、相続税の納税猶予制度を利用していない場合、指定から30年経って「生産緑地」の買取り申出を行い、指定を解除しても、「相続税を遡って支払わないといけない」といった問題はない。

 もちろん、「生産緑地」や「特定生産緑地」の指定を再度受けるという選択肢もある。そうなると、再び30年ないし10年間の営農義務が発生する。その間に相続が発生した場合、その時点で「生産緑地」や「特定生産緑地」の買取りを申し出てもよい。

 ただ、それでは単なる先送りに過ぎない。この機会に買取り申出をして、計画的に売却や有効活用を検討するほうがよいのではないか。

 売却や有効活用といっても、農地から宅地への転用、土地の造成、その後、宅地として売却するのか、建売住宅として分譲するのか、アパートや賃貸マンションを建てて賃貸するのかなど、様々な選択肢がありえる。

 税理士をはじめ様々な専門家のアドバイスを仰ぎながら、またそれぞれの事情などを踏まえて慎重に検討することが欠かせないだろう。

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<不動産売却の基礎知識>
相場を知るために、まずは「一括査定」を活用!

 不動産の売却に先駆けて、まずは相場を知っておきたいという人は多いが、それには多数の不動産会社に査定をしてもらうのがいい。

 そのために便利なのが「不動産一括査定サイト」だ。一括査定サイトで売却する予定の不動産情報と個人情報を入力すれば、最大6社程度から査定してもらうことができる。不動産の相場観が分かるだけでなく、きちんと売却してくれるパートナーである不動産会社を見つけられる可能性が高まるだろう。

 ただし、査定価格が高いからという理由だけでその不動産会社を信用しないほうがいい。契約を取りたいがために、無理な高値を提示する不動産会社が増加している。

 「大手に頼んでおけば安心」という人も多いが、不動産業界は大手企業であっても、売り手を無視した手数料稼ぎ(これを囲い込みという)に走りがちな企業がある。

 なので、一括査定で複数の不動産会社と接触したら、査定価格ばかりを見るのではなく、「売り手の話を聞いてくれて誠実な対応をしているか」、「価格の根拠をきちんと話せるか」、「売却に向けたシナリオを話せるか」といったポイントをチェックするのがいいだろう。

 以下が主な「不動産一括査定サイト」なので上手に活用しよう。

■相場を知るのに、便利な「不動産一括査定サイト」はこちら!
◆HOME4U(不動産一括査定サイト)
対応物件の種類 マンション、戸建て、土地、ビル、アパート、店舗・事務所
掲載する不動産会社数 900社 不動産一括査定サイト「HOME4U」の公式サイトはこちら
サービス開始 2001年
運営会社 NTTデータ・スマートソーシング(東証一部子会社)
紹介会社数 最大6社
【ポイント】 強みは、日本初の一括査定サービスであり、運営会社はNTTデータグループで安心感がある点。弱点は、提携会社数がやや少なめであること。
HOME4U公式サイトはこちら
◆イエウール(不動産一括査定サイト)
対応物件の種類 マンション、戸建て、土地、投資用物件、ビル、店舗、工場、倉庫、農地
掲載する不動産会社数 1400社以上 不動産一括査定サイト「イエウール」の公式サイトはこちら
サービス開始 2014年
運営会社 Speee
紹介会社数 最大6社
【ポイント】 強みは、掲載する会社数が多く、掲載企業の一覧も掲載しており、各社のアピールポイントなども見られる点弱点は、サービスを開始してまだ日が浅い点。
イエウール公式サイトはこちら
◆LIFULL HOME'S(不動産一括査定サイト)
対応物件の種類 マンション、戸建て、土地、倉庫・工場、投資用物件
掲載する不動産会社数 1692社(2018年8月)
サービス開始 2008年
運営会社 LIFULL(東証一部)
紹介会社数 最大6社
【ポイント】強みは、匿名査定も可能で安心であるほか、日本最大級の不動産ポータルサイト「LIFULL HOME'S」が運営している点弱点は大手の不動産仲介会社が多くはないこと。
LIFULL HOME'S公式サイトはこちら
◆リビンマッチ(不動産一括査定サイト)
対応物件の種類 マンション、戸建て、土地、投資用物件、ビル、店舗、工場、倉庫
掲載する不動産会社数 1400社 不動産一括査定サイト「リビンマッチ」の公式サイトはこちら
サービス開始 2006年
運営会社 リビン・テクノロジーズ
紹介会社数 最大6社(売却6社、賃貸、買取)
【ポイント】強みは、掲載している不動産仲介会社数が多く、マンション、戸建て、土地以外の工場、倉庫、農地も取り扱いがある点。弱点は、運営会社が広告代理店で上場していないこと。
リビンマッチ公式サイトはこちら
◆イエイ(不動産一括査定サイト)
対応物件の種類 マンション、戸建て、土地、投資用物件、ビル、店舗、工場、倉庫、農地
掲載する不動産会社数 1000社 不動産一括査定サイト「イエイ」の公式サイトはこちら
サービス開始 2007年
運営会社 セカイエ
紹介会社数 最大6社
【ポイント】 強みは、サービス開始から10年以上という実績があるほか、対象となる不動産の種類も多い。「お断り代行」という他社にないサービスもある。弱点は、経営母体の規模が小さいこと。
イエイ公式サイトはこちら
◆マンションナビ(不動産一括査定サイト)
対応物件の種類 マンション
掲載する不動産会社数 900社超、2500店舗 不動産一括査定サイト「マンションナビ」の公式サイトはこちら
サービス開始 2011年
運営会社 マンションリサーチ
紹介会社数 最大9社(売却・買取6社、賃貸3社)
【ポイント】 強みは、マンションに特化しており、マンション売却査定は6社まで、賃貸に出す場合の査定3社まで対応している点。弱点は、比較的サービス開始から日が浅く、取扱い物件がマンションしかない点。
マンションナビ公式サイトはこちら
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