不動産売却のチラシ(求む不動産)、DMが
自宅の郵便受けに入っていたけど、信じても大丈夫?
「このエリアで、家を買いたいお客様がいます!」

2018年5月11日公開(2019年3月15日更新)
ザイ・オンライン編集部

「求む不動産!」といった不動産売却のチラシやDM(ダイレクトメール)が、みなさんの家にも定期的にポスティングされていないだろうか? 普段なら怪しくて即ゴミ箱行きの紙切れも、家やマンションなど不動産の売却を検討中の人にとっては心惹かれるもの。とりあえず問い合わせだけでも…、と安易に電話に手を伸ばしたことで、何百万円も損することも。不動産仲介会社の狙いを知って、慎重に行動しよう!

安易に信用できない「求むチラシ」

不動産の売却のチラシやダイレクトメール

 チラシのポスティングといえば、いまや便利屋や廃品回収のチラシなどが中心。広告の舞台がインターネットに移行したことで、一昔前に比べて、ピザなどケータリング関連のチラシも、投函数がずいぶん減っているようだ。

 そんな中、今もなお、時折ポストに地域限定の物件買取チラシを見つける人は少なくないことだろう。

「こちらのマンション限定! ご依頼主は大手企業様。社宅用の物件を今なら高値で買い取ります」
「〇〇エリアで敷地面積〇〇㎡以上の戸建てを探しているお客様がいます。予定ご予算〇〇〇〇万円以上!」
「急な転勤のため、3ヵ月以内に部屋を購入したいという希望者がいます」

 バリエーションはいろいろだが、共通しているのは怪しさいっぱいのコピー。デザインも野暮ったいものが多く、本気で家探しをしているのか疑いたくなるレベルだ。ところが、問い合わせ先を見ると、大手不動産仲介会社の名前であることも多い。

 もし、あなたがここで「大手なら安心だろう。それに買いたいと言っているのだから高く売れるはず」と感じたのなら、不動産仲介会社の術中にはまる一歩手前かもしれない。

 こうしたチラシを不動産業界では、「求むチラシ」「求む広告」と呼んでいる。昔の顧客リストの情報をもとに創作した"架空案件"であるのが通例だ。数年前までは規律の乱れもひどかったので、「今すぐあなたのマンションを〇万円で買いたいお客様がいます」と堂々とウソを書いているチラシも散見された。

 けれども、少し考えれば、気づくはずだ。「このマンション限定で」「〇丁目の物件で」というような家探しは、普通行わない。そこまで物件やエリアを狭めて探す必然性がないからだ。つまり、「求むチラシ」は、ほぼ「おとり広告」と考えていい。

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狙いは物件を預かっての「両手取引」

 では、渡りに船とばかりにこうした広告に飛びつくと、その後、どんな展開が待っているのだろうか。たいていは次のような応対を受けるだろう。

「残念ながら買主候補のお客様は、先ほど他の物件で決まってしまいました。でも、人気エリアですので、買主はすぐに見つかると思います。せっかくですから、価格だけでも、一度査定してみてはいかがですか?」

 言葉巧みに専属専任媒介契約に誘導しようとしてくるはずだ。費用をかけてまで、いまだにポスティングを続けている理由はじつはここにある。

 どんな商売でも、ニーズの高い商品を独占して販売できれば、これ以上ラクに儲けられる話はない。言うまでもなく、不動産仲介会社にとっての商品は物件。人気エリアの売り物件を抽出するために大量のチラシをまいているのだ。

 物件の流通量の少ない人気エリアに集中的にポスティングを行い、売主が名乗り出てくれるのを待つ。そして、アプローチしてきた売主に対しては、専属専任媒介契約を結ぶように誘導。無事、契約締結に漕ぎつけると、"おいしい"「両手取引」に向かって舵を切る不動産会社が多い。

 両手取引とは、一つの不動産仲介会社が売主と買主の双方の代理を行い、仲介手数料を2倍稼ぐもの。自社の買主への売却を成立させるため、他の不動産仲介会社から問い合わせあっても、無断で断ってしまう会社もあって問題視されている。

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DMが届いた場合、「売りやすい物件」の可能性が高い

 同様のチラシがDMとして送られてくることもある。なかには、物件条件についての指定はなく、単に「不動産の売却をお考えのお客様、お電話ください!」といった売り物件を募集する手紙形式のこともある。いずれにしても、付き合いのない会社からのDMは、あまり気持ちのいいものではない。どこから個人情報が漏れたのか不安に思う人もいるだろう。

 しかし実際には、こうしたDMが流失した個人情報をもとに送られてくることはまずない。そんなリスクを冒さなくても、法務局に出向いて登記簿を確認すれば、誰でも入手できる情報だからだ。

 かといって不動産仲介会社も、無差別にDMを送りつけているわけではない。当然、エリアの市場動向や築年数などから、買主のつきやすそうな物件に絞り込んで送付をしている。見方を変えれば、DMが手元に届いた人は、市場で売却しやすい物件を所有している可能性が高いともいえるのだ。

 もちろん、相手が詐欺まがいの悪徳業者の場合もある。不安な場合は、国土交通省のホームページから宅地建物取引業の免許番号を確認するといいだろう。免許番号がなければ、もぐりの業者だとわかる。

 なお、こうしたDM送付には、「メール便」が利用されることが多いが、メール便は信書の送付が禁じられている。新聞の折り込み等で配布するような不特定多数向けのチラシを同梱するのはいいが、受取人だけに向けた内容が記載されているようなものは扱えない。信書の有無は、コンプライアンス意識を図る参考になるだろう。

売主にとってベストな不動産仲介会社を見極めるには

 ただ、言葉は悪いが、いい加減な「求むチラシ」を見て依頼してきた売主は、不動産仲介会社から"カモ"として見られがちだ。チラシに食いついてきたことで、「早く売りたい理由があるに違いない」とか、「知識がなくて誘導しやすそうだ」といった印象を、少なからず不動産仲介会社に与えてしまうからだ。

 たとえば、早期売却を図るため、知識不足につけ入って価格を下げさせたり、買主側の条件を無抵抗で飲んで、契約を急がせたりするようなことも起こり得るだろう。特に、決算期などで売上のノルマ達成が最優先されるような場合は、そういう売主がターゲットにされやすい。

 以下は、不動産仲介会社の健全性をチェックする方法だ。

◆不動産仲介会社の健全性の確認方法
最初に免許を取った日を確認したい場合
国土交通省「建設業者・宅建業者等企業情報検索システム」にアクセスして、「宅地建物取引業者」をクリックして検索。免許の有無と、最初に免許を取った日がわかる。免許証番号の(   )内の数値が低い場合は、免許証取り消し処分などを受けた業者の可能性がある。ただし、数値が高いからといって、健全性が高いとも言えない。
過去の行政処分情報を確認したい場合
「国土交通省ネガティブ情報等検索システム」にアクセスして、「宅地建物取引業者」をクリックして検索。何らかの処分を受けた業者は避けたい。

 どの不動産仲介会社に依頼するかによって、売却価格は数百万円単位で違ってくる。それだけに、大切な依頼先をチラシ一枚で判断するのは考えものだ。売却先を見つけるときは、上記のような国土交通省の情報や、不動産一括査定サイトなども活用するだけでなく、必ず複数の不動産会社と相談してから決めるようにしたい。

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