家を売るときの契約方法は、「一般媒介」「専任媒介」「専属専任媒介」でメリットが大きいのはどれ?

2018年7月13日公開(2018年11月6日更新)
ザイ・オンライン編集部

不動産仲介会社に不動産の売却を依頼する際、必ず「媒介契約」を結ぶ。媒介契約には、「一般媒介契約」「専任媒介契約」「専属専任媒介契約」の3種類があるが、どれがメリットが大きいのか? 結論から言えば、基本は「一般媒介契約」で、売れにくい物件など一般媒介契約が難しいときは「専任媒介契約」を結ぼう。

3つの媒介契約の特徴は?
おすすめは「一般媒介」!

 不動産を売却する際には、不動産仲介会社と売却方法について契約を結ばなければならないが、どれがいいのか迷う人は多いだろう。そこで、「一般媒介契約」「専任媒介契約」「専属専任媒介契約」の3つの媒介契約について、それぞれのメリット、デメリットをまとめた。

(1)一般媒介契約

 売主は、複数の不動産仲介会社に売却の依頼が可能。不動産仲介会社から物件の販売活動について報告義務はない。また、「レインズ(REINS)」の掲載義務もないため、希望する場合は掲載してくれるよう契約の際に話を付けておく必要がある。

(2)専任媒介契約

 1社の不動産仲介会社にしか売却の依頼ができない。不動産仲介会社は売主に対し、販売活動を2週間に1度報告する義務がある。また、契約日から7日以内に物件を「レインズ(REINS)」に登録する義務がある。また、自ら探した相手との直接契約が可能。

(3)専属専任媒介契約

 専任媒介契約と同様、1社の不動産仲介会社にしか売却の依頼ができない。不動産仲介会社は売主に対し、販売活動を1週間に1度報告する義務がある。契約日から5日以内に物件を「レインズ(REINS)」に登録する義務がある。また、自ら探した相手との直接契約をするには、手数料を支払わなければならない。

3つの「媒介契約」の特徴
  一般媒介契約 専任媒介契約 専属専任媒介契約
依頼可能な不動産仲介会社の数 制限なし 1社 1社
販売活動の報告義務 なし 2週間に1度 1週間に1度
「レインズ(REINS)」への報告義務 なし 契約日から7日以内に登録 契約日から5日以内に登録
囲い込みの可能性 なし あり あり
自ら探した相手との直接契約
(手数料を支払えば可)

 では、どの契約がオススメなのか? 結論から言うと、基本は「この不動産仲介会社なら信頼できる」と思った会社と「一般媒介」を結ぶのがいい。ただし、地方の物件や都心でも人気のないエリアで競争が期待できない場合は「専任媒介」もアリだ。以下、その理由について解説していく。

「囲い込み」される危険が少ない「一般媒介」
やる気のない不動産仲介会社には要注意!

 「一般媒介」のメリットはなんといっても、不動産仲介会社による「囲い込み」が起きにくいということだ。

 囲い込みとは、売り主側の不動産仲介会社が、物件を他の不動産仲介会社に触らせない行為のこと。買主側の不動産仲介会社から問い合わせがあっても、「その物件はすでに契約交渉に入っています」などと虚偽の回答をして売主の物件を紹介しない行為のこと。

 そうして塩漬けにした物件を自社サイトで“当社だけのオリジナル物件”などと称して販売し、結果として、「売主と買主の双方から手数料を得る」のが狙いだ。売り主側からだけ手数料をもらう場合に比べて、2倍の手数料をもらえる“美味しい取引”だ。

 そのため、より確実に2倍の手数料をもらうために、他社からの問い合わせは断り、売主がしびれを切らした頃に、「物件が売れないので価格を下げましょう」と販売価格を下げさせるのだ。これは売主側にとっては不利益でしかない。

 その点「一般媒介」なら、たとえ不動産仲介会社が囲い込みをしても、その間にライバル業者が買主を見付けてしまえば自分は手数料をまったくもらえない。よって、囲い込みが起きにくくなる。基本的には「一般媒介」で売るのが得策と言えるだろう。

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一般媒介できちんと売却するには、
あまりにも高値で売りださない」などに注意

 ただし、一般媒介で気を付けたいポイントがある。以下の3点に注意しよう。

(1)あまりにも高値で売りださないこと

 あまりにも高値で売りだすと不動産会社からそっぽを向かれて、なかなか売れない可能性がある。売出価格が安かったり、適切であったりすれば、「これならすぐ売れる」と不動産会社もヤル気になって売ってくれるので、自然と競争が起こり、早期の売却の見込める可能性がある。売出価格には注意したい。

(2)大都市圏の物件で、競争力があること

 一般媒介で契約するのは、大都市の物件であり、駅から近いマンションなど、人気があって売りやすい方が適している。

 すべての不動産仲介会社がそうではないが、なかには広告も出さず、ろくに販売活動すらしてくれない不動産仲介会社が存在する。なぜなら前述の通り、自社でどれだけ頑張って広告を出しても、他社に先を越されてしまったら手数料収入が入ってこないためだ。

 不動産の売買に詳しい、アルティメット総研代表取締役・大友健右氏は、「囲い込みをして両手取引で手数料を稼ぐのが当たり前の不動産屋が、果たして一般媒介契約で預かった物件の販売活動をちゃんとするかと言われたら疑問ですね。『預かったらもうその物件は覚えていない』みたいな業者もたくさんありますから」とその危険性を語る。

 特に地方では、「一般媒介は受け付けていない」という不動産会社が多いのが実情だ。競争力がない物件などの場合は、不動産会社の反応を見て決めたほうがいいだろう。

(3)複数社相手で、連絡が面倒くさらがないこと

 一般媒介で複数社と契約した場合、内覧の日程相談などはそれぞれの不動産会社とやりとりしなければならず、大変だ。また、きちんと営業活動をしてくれる不動産仲介会社を探したり、契約した会社には「レインズに登録してください」と依頼したほうがいい。事前の準備や話し合いをこまめにした方が、売れる確率がアップするので、こうした作業を面倒くさがらずにこなすことが重要だ。

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競争力のない物件は「専任媒介」で
信頼できる会社と二人三脚で売ろう

 では、専任媒介で契約すべき人はどんな人だろうか。

 競争がない地方など、マーケットが小さい地域で売却したい人には、「専任媒介」がおすすめだ。

 また物件に競争力があっても、仲介会社に戦略をたててもらい、広告などもきちんと打ってもらって高く売りたいという人にも適しているだろう。

 信頼できる不動産仲介会社と専任媒介契約を結べれば、販売を依頼された不動産仲介会社は、売主の期待に応えようと積極的に販売・広告活動をしてくれるだろう。また、不動産売却におけるアドバイスなどもしてくれるはずだ。

 なお、販売価格が極端に“安い”不動産も、「専任媒介」で売るべきだろう。

 不動産売却の仲介手数料は、3%+6万円+消費税(400万円以上の場合)と上限が決まっているので、物件価格が1000万円の場合、手数料は約39万円しかなく、一般媒介契約では誰も真面目に売ってくれない可能性が高いのだ。

「専属選任媒介」は囲い込みの温床!?
「専属」という言葉に惑わされないように

 「専属専任媒介」の場合、活動内容を1週間に1度報告する義務があるので、より力を入れてくれそうな気がするが、専属専任媒介契約は実は“囲い込みの温床”と警鐘を鳴らすのは、株式会社不動産流通システムREDS(レッズ)代表取締役・深谷十三氏だ。

 「専属専任媒介」は「バブルのときに生まれた、手数料の取りっぱぐれを防ぐための悪しき存在でしかない」と深谷氏は強く念を押す。

 もし自分の物件が囲い込みに遭ってしまったら、ちらしや広告を出してくれるどころか、逆に何の情報公開もしてくれなくなる。不動産仲介会社は「専属専任媒介」を取りたがるが、それに促されるまま契約を結んでしまうのは早計だ。

 なお、高値売却なら「専任媒介」がいいと前述したが、「専任媒介」にも同様のリスクがあることは頭に入れておきたい。「専任媒介」と「専属専任媒介」との大きな違いは自分で探した相手との直接取引の際に、手数料を取られるか取られないかだ。

 売りだしたところ、隣の住人が直接買いたいと言ってくるケースなどは結構多い。報告の頻度がちょっと減るだけなので、「専任」で契約を結ぶのなら、必ず「専任媒介」の方を選ぼう。

媒介契約の選び方まとめ
基本は「一般媒介」、競争力がないなら「専任媒介」

 以上が、媒介契約の選び方だ。基本は「一般媒介契約」を結び、地方であるなど売れにくい物件で一般媒介が難しいときは「専任媒介」を結ぼう。

 両方の契約形態にいえることだが、大切なのは「この不動産仲介会社なら信頼できる」と思える不動産仲介会社と契約を結ぶことだ。「何カ月経っても物件が売れない」「しきりに不動産価格を下げましょうと言われる」など、おかしいと感じる点があれば、媒介契約を解除し、他の不動産仲介会社を当たるのがおすすめだ。

 最後に、「一般媒介」「専任媒介」「専属専任媒介」の3つから、どの契約形態をえらべばいいか以下にまとめた。

「一般媒介」「専任媒介」「専属専任媒介」の選び方まとめ
・基本は「一般媒介」を結ぼう。「囲い込み」のリスクが少なく安心
・競争力のない物件を、より高く売りたい人は「専任媒介」
「専属専任媒介」は「囲い込み」の温床なので、絶対に選んではいけない


 この記事を参考にして、自分の売却事情に適した契約形態を選んでほしい。

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