2020年に行われた最後の「大学入試センター試験」。会場となった東京大学駒場キャンパスには冷たい雨が降り続けていた(2020年1月18日)

緊急事態宣言が再発令され、対象地域が拡大される中、2021年1月16日・17日に、初めての「大学入学共通テスト」が実施される。その前身である「大学入試センター試験」の時代から、表立っては誰も触れてこなかった“闇”がここにも潜んでいた。大学通信の安田賢治さんと教育ジャーナリストの後藤健夫さんによる「Y&G大学対談」で、受験生の知らない“真実”について語り合う。(ダイヤモンド社教育情報、撮影/倉部和彦)

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「共通テスト」に潜む“パンドラの箱”

 2021年1月に初めて実施される「大学入学共通テスト」の出願者数は53万5245人となった。前年よりも2万2454人減少している。今年は新型コロナ感染リスクなども勘案して、都合3回の実施となるが、受験生の圧倒的多数は最初の日程に出願している。

安田賢治
大学通信 常務取締役

安田 いよいよ今週末、初めての「大学入学共通テスト」が行われます。

後藤 初日の1月16日は私の誕生日でして(笑)、ついに還暦を迎えます。思い起こせば、第1回の共通一次試験を受け、学生時代に河合塾でアルバイトをし、そのまま就職した時から、私の人生は大学入試と共にあったわけです。

安田 (笑)。

後藤 2020年末に行われた大学入試センターのシンポジウムで驚愕(きょうがく)的な話を聞きました。大学入試センター試験を受けた受験生の、なんと4分の1が未出願者だというのです。

安田 確か、10万人になると聞きましたね。

後藤健夫
教育ジャーナリスト&アクティビスト

後藤 総合型選抜(AO入試)や学校推薦型選抜(指定校推薦入試)で合格を得て、本来受ける必要のない生徒がいっぱい受験しているということですよ。

安田 今はどこの高校も、“受験は団体戦”。一般選抜の前に総合選抜や学校推薦型選抜に合格した生徒がボロボロ抜けて、もう卒業するまで勉強しなくていいやとなってしまうと、進学校の雰囲気が崩れてしまう。だから極力、総合型選抜や学校推薦型選抜を受けさせないわけです。とはいえ、それらを受験することは止められないから、たとえ合格していても「センターまでは頑張ろう」みたいな感じで行く。だからでしょうか、今年の入試から、早稲田大学が学校推薦型選抜でも大学入学共通テストの成績を出願要件にします。

後藤 早稲田の入試の場合はむしろ国立型に転じているわけですね。大学入学共通テストの成績を見ておけば、経験値として評点平均の高校間格差を是正することができるようになるという狙いもあるのでしょう。
 
安田 そうそう。合否には関係ないけど、その点数を見ようと。
 
後藤 センター試験を受験してもどこの大学にも出願しない未出願者は、青森県と岩手県が一番多いという。これはセンター試験から続く大学入学共通テストにとっての“パンドラの箱”なんです。4技能を測る民間英語検定の導入を巡って何が言われたか。経済的負担です。でもねえ、英検と大学入試センター試験とどちらの検定料が高いのか。よくそんなことを東北の高校は言ったなと思います。自分たちのやったことが、経済格差を主張できるようなものではないことがばれてしまった。

安田 信じられないことにセンター試験では0点がいました。寝ている受験生がいる、本当に白紙で提出する人がいるのです。そうした受験生が全体の平均点を下げている。そのことがデータの信頼性を損ない、周りの受験生に迷惑をかけていることを考えないといけない。本当の平均点はもっと高くなるはずですから。