新型コロナが「共通テスト」に与える影響

 初めての大学入学共通テストを入試に利用する大学・短大の数は、最後のセンター試験よりも8校増えて866校になった。すでに横浜国立大学が表明しているように、感染防止のためにも個別の学力試験を行わず、共通テストでの得点を中心に課題提出などで判断するという大学が今後増加する可能性があり、共通テストの重みは一段と増しそうな情勢である。

安田 新型コロナがまん延している状況下で、50万人以上が受ける共通テストでの成績がものすごく重要になる気がします。本試験がもしできなくなったら、共通テストの成績だけで合否が決まるじゃないですか。2020年の入試で実際そのようにした北海道大学*みたいに。

後藤 事前に宣言しないであんなことやっていいのかと思いますよね。

安田 背に腹は代えられないということでしょうか。

後藤 インチキ極まりないじゃないですか。500メートル走れと言っておきながら、競争は100メートルで終わっていました、というのだから。

安田 でもまあ、例として適切ではないかもしれませんが、東日本大震災の時に東北大学とか東京の大学でも同様のことをしました。

後藤 いまさらもう試験は課せないという話ですよね。今回のコロナも同じ。感染者が増えている状況ですから、その可能性は十分にあります。

安田 共通テストは、受験生の近所で受けることができます。だから、共通テストですら実施できないと今年の入試はもうできない。

後藤 難しいのは感染状況に地域差があることです。東京や大阪などの都市部は感染者数が多い。だから、東京で受けるのと福井や岩手で受けるのとでは、感染リスクが違うし、受験生の心持ちも違うと思う。これが本当にもっとひどくなって、東京と大阪では実施できないような状況になったときには、まあなかなか大変でしたね。

安田 そうした事態になったら、東京と大阪の受験生は追試験にも設定されている第2日程(1月30日・31日)を受けざるを得ない。あるいは特例追試験(2月13日・14日)ということになりましたからね。

*一般入試後期日程を中止し、令和2年度大学入試センター試験の成績により合格者を決定した