その2 地域環境の持続化と農業経営の強化に向けて
農業ベンチャーとエゴマの有機栽培に挑む
エゴマの葉の鉢を手にする土田敏行・農事組合法人おおが代表理事
農業従事者が減少し続ける中で、食料生産だけでなく地域の自然環境を守るために農事組合法人を設立、それをスマート農業や大学発のアグリベンチャーが支援する。しかも付加価値の高い有機栽培にも取り組み、経済的な基盤も固める――。
将来の日本農業の姿を先取りしたかのような取り組みを続けているのが、岐阜県山県(やまがた)市の農事組合法人おおが(土田敏行代表理事。以下、おおが)だ。おおがは、17年に設立された同市内の大桑(おおが)地区を基盤とする農事組合法人で、大桑地区の農地の90%、約100ヘクタールを耕作管理している。
うち70ヘクタールが水稲で、15ヘクタールが小麦で占められている。約100ヘクタールで農地は550筆にも分かれており、「全体面積は中山間地としては大きいが、筆数の多さから分かる通り水稲としては小さく、細かな畔が続く、年寄りの農業従事者にはつらい農地です」(土田代表理事)。
現地では作業委託だけでなく、農地そのものを手放したいという相談も増えてきている。おおがは現在、従業員8人で運営しているが、定年退職者が中心で、法人自身の高齢化という問題も抱えている。
早急に法人としてもうかる仕組み作り、付加価値の高い農作物がなければ結局は若い人を採用できず、おおが自身が尻すぼみになってしまうことが明白だ。そこで名古屋大学発のアグリベンチャーであるグランドグリーン(丹羽優喜代表取締役社長)の協力を得て始めたのがエゴマの有機栽培だった。