やまがたエゴマ協議会を発足させ、収穫されたエゴマはグランドグリーンが全量を買い付け、エゴマ油を製造・販売している。ちなみにエゴマはシソ科で、ゴマ科のゴマとは違う植物。体に良いとされるオメガ3系脂肪酸をエゴマ油は豊富に含んでおり、2023年の日本食品標準成分表によれば、エゴマの脂肪酸総量中のオメガ3系脂肪酸の割合は60パーセント(100グラム中)を占め、ヘルシーな油として注目されている。

エゴマに挑戦するきっかけになったのは獣害だった。現在、おおがではソバを7ヘクタールほど栽培しているが、シカがソバの若芽を食べてしまう。しかしエゴマは動物にとって不快な臭いとなる成分が葉から出ていて、シカもイノシシもサルも食べないのだ。

第2回:「みどりの食料システム戦略」が創り出す農業の多様な未来を実感する「アグリビジネス創出フェア2023」レポート瓶に入っているのが搾り出されたエゴマ油。100グラム2980円と高額なのがネック。量産できればコストダウンが図れると期待を込める。袋に入っているのは、エゴマの搾りカスを食料として再利用した商品

グランドグリーンは大桑地区の土壌に適したエゴマの探索をリードし、さらに移植栽培における堆肥(鶏ふん)の散布量などについてもおおがと共同で検証を続けている。当然、実りの状況はドローンで観測している。

「湿害に弱いので畝を立てて管理するというノウハウも分かってきました。23年は湿害もあって50キログラムしか実りませんでしたが、本来であれば1反当たり100キログラムは収穫できる。そうなれば1キログラム当たり500円で販売することができ、経営への貢献は大きいはずです。中山間地で有機による大量栽培の方法を確立できれば経営を大きく変えられると思っています」(土田代表理事)

販路の開拓においてもグランドグリーンが果たす役割は大きい。土田代表理事は、「小さな農家にはネットショップを有効に使う方法さえ分からない。そういうときに大学のベンチャーが協力してくれるのは本当にありがたい」と語る。