高付加価値の有機米栽培の
敷居を下げる抑草の
「アイガモロボ」

ゴールデンウィーク明けの秋田県南西部、にかほ市。残雪の鳥海山を望みながら田植えが終わったばかりの水田を「アイガモ」が悠然と泳ぎ回っている。といっても縦約130センチメートル、横90センチメートルほどのプラスチックでできた四角い“浮き”で、中央部に制御ユニットがあり、その底、水面側では2本の縦型のスクリューが回転している。ユニット部に二つ目玉のカバーを載せれば、まさに「アイガモ」が泳いでいるように見える。
このアイガモロボの仕事は、有機米栽培の水田を舞台に、スクリューを回して水田の土をかき混ぜることだ。田植えのために代かきされ、田植えが終わった水田は、底部に「土」があり、その上に「トロトロ層」といわれる軟らかい泥の層がある。アイガモロボは、GPSの位置情報を得ながら水田内を碁盤の目状に動き回り、トロトロ層をかき混ぜる。田植え直後から3週間、毎日休みなく、日の出から夕方まで動き続ける。
次ページからは、「雑草との闘い」に立ち向かうアイガモロボの驚きの仕組みを解き明かす。