日経平均株価2万円、ダウ1万8000ドルの相場を
ピーター・リンチ、ウォーレン・バフェットなら
どう考え、どう動き、どう売買するのか?新訳『ピーター・リンチの株の法則』翻訳者の平野誠一氏に聞く(2)

2015年5月9日公開(2021年3月12日更新)
ザイ・オンライン編集部

編集部 たしかに、日経平均株価が2万円になってからも新高値を更新している個別銘柄もあるので、全体相場とは別の話しだと思った方がよさそうですね。平野さんはウォーレン・バフェットの語録を集めた『新版バフェットの投資原則』も翻訳されていますが、バフェットなら現在の相場をどう見ていると思いますか?

平野 実は、あのウォーレン・バフェット氏も同じようなことを言っています。拙訳書『新版バフェットの投資原則』にはこんな発言が収められています。「投資してみたいと思う企業が見つかったら、株式市場全体の水準はあまり気になりません。あくまでその企業の状況を見て、投資すべきかどうかを判断します」(17ページ)。

バフェット語録ともいうべき『【新版】バフェットの投資原則』。投資のみならず人生の教訓まで学べる一冊。

 バフェット氏には、リンチ氏も敬意を抱いているようです。実際、この二人には共通点が多いように思います。個別企業のファンダメンタルズをじっくり吟味し、一度買ったらすぐには売らないという投資スタイルはもちろんのこと、ユーモアを交えて話すところや、人間的な魅力もあるところも同じです。

編集部 バフェットはユーモアあふれる名言が多いことで知られています。このバフェットにはかなわないかもしれませんが、リンチにもユーモアあふれるエピソードがありますね。

平野 リンチ氏のユーモア精神が本書で最も発揮されているのは、第11章にある理容店のエピソード(新訳261ページ)ではないかと思います。

 これは「体験に勝る調査はない」というタイトルが示すように、格安理容店のチェーンを展開する企業に投資してもよいかどうか、自分の髪を切ってもらいながら見極めようとしたときの話です。その結果、家族が目を白黒させる髪型にされてしまったわけですが、リンチ氏はそれを笑い話に仕立て、その会社の経営者への取材をスムーズに進める道具にしたり雑誌の座談会を盛り上げたりしています。

 このエピソードには個人投資家に役立つヒントも詰まっています。リンチ氏が自分の順番を待つ間に店内で何を観察し、どんなことを考えていたのかが実況中継風に描写されているのです。覆面取材に挑んだジャーナリストの真剣な(しかし、読んでいるとつい笑ってしまう)ルポのようでもあり、楽しんでいただけると思います。

 また、本文中に21個ちりばめられている「ピーターの法則」にもユーモラスなものがあります。19番目の法則「悲観的になることが報われるのは、空売りを仕掛けているときと、裕福な結婚相手を探す詩人になるときだけだ」などはその典型でしょう。

 「法則」に比べると巻末の「25の黄金律」はまじめですが、示唆に富むアドバイスがたくさん並んでいます。初心者かベテランかを問わず、すべての個人投資家の方々にぜひ目を通していただきたいリストです。(第3回に続く)
 

『ピーター・リンチの株の法則』
「アマチュアでもプロに勝てる」をコンセプトに、投資の理論を中心に構成した1作目に続く第二弾が新訳版として復活。新たに追加された箇所や、読者がもっとも興味のあった「ピーター・リンチがどのようにして、資産を増やしていったのか」という疑問に答える中身になっている。

 ピーター・リンチは銘柄を選ぶときに、「どうしてこの株を買ったのか」というメモを必ず残しており、13年間の現役生活を終えて、これまでのメモをすべて洗い出し、1800万ドルを140億ドルに増やした「勝つための法則」を1冊に凝縮した。

「割安だからと、よく調べもしない会社に投資するな」
「投資する会社を90秒で説明できないようなら買うな」
「業績が上向いている会社の最強のライバル会社を買え」
「小型成長株・循環株と保守的な銘柄を相場の上げ下げでコントロールせよ」
など、今でも使える投資戦略を著者の経験談より学ぶことができる。

もちろん成功談だけにとどまらず、著者の負けっぷりも読みどころ。豪快な負けから生まれた反省点、後悔した点なども赤裸々に語られているので、ただの勝ち自慢ではない読み物としての面白さもあり、株の教科書として大いに役立つこと間違いなしの一冊。

 

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