2016年年初から日経平均は急落し、一時1万5000円を割り込んだ。下落幅が大きい日本株だが、誰が、なぜ売るのか? 昨年から急落を予測していたプロに徹底取材した。
再度の日経平均の1万6000円割れで
日銀の対策なしなら1万4500円も!
日銀のマイナス金利導入で、一時は円安が進み、株価も急騰した。しかし、その効果は長期的には期待できないと海外機関投資家の動向にも詳しい豊島逸夫事務所の豊島逸夫さんは見ている。

「マイナス金利導入で、海外の短期筋は円売り、日本株買いに動いた。しかし、アベノミクスへの期待で日本株を買っていた欧米の年金運用機関などの海外の長期投資家が日本株を持とうという意識は薄れている。なぜなら、TPPの立役者だった甘利明元経済再生相の辞任で、アベノミクスの司令塔を失ったと海外の長期投資家は見ているからだ」
豊島さんは、参院選が終わる7月頃には、株価を押し上げるような材料は出尽くし、10月頃には1万4500円までの下落を予測する。
一方で、日本経済自体の弱さを指摘するのが、外資系金融機関などで米国の年金基金への助言経験もあるグッチーポストの山口正洋さんだ。

「日本の景気の先行きを測る経済指標もかなり良くない状況です。さらに、日本のGDPの6割を占める個人消費も、2014年4月の消費増税以降は落ち込んでいます。2017年4月には、消費税10%が控えている点を考えると、日本経済は悪化し、かなり厳しい状況が続くでしょう。いずれ、買われ過ぎている日本株は、調整局面を迎えて、1万3000円まで下落の可能性も」
また、ニッセイ基礎研究所の矢嶋康次さん日本株は海外の要因を受けやすいが、今後も多くのリスクがあると忠告する。

「米国の利上げ観測や中東をはじめとした地政学リスクなど、リスク要因は数えればキリがないほどある。日銀がマイナス金利を決めなければ、その時点で1万5000円を割っていた可能性があります。株式市場は、米国の雇用状況の良さから、なんとか持っているようなもの。米国経済が好調を維持することができれば、1万5000円付近が底になりますが、その砦が崩れるようなことがあれば、さらなる株価下落の可能性があります」
ドル・円が120円までの円安になるのか
100~105円までの円高になるのかが重要
一方で、UBS証券の大川智宏さんはヘッジファンドなどの短期投資筋の影響で、値動きが激しい相場を予測しているが、現状では、日本経済そのものが問題というより、外部要因による日本株売りが続いていると見ている。

「ここ数年間、買われ過ぎた反動が昨年6月以降に出ていると思われます。株などのリスク資産からの逃避傾向は世界的なトレンド。日本独自のリスクで売られているわけではないが、今後はドル・円が継続的に120円を超えないと厳しい。マイナス金利導入と米国利上げ期待で、日米金利差が広がり、円安トレンドとなるかどうかに注目です」
しかし、米国経済の先行きには注意が必要で、今後は100~105円まで円高が進むと予測するのはアセットベストパートナーズの中原圭介さんだ。中原さんは昨年夏以降に欧州などの長期投資家が日本株を売ってきていると言う。

「昨年12月の米国の利上げは、米国の消費をじわじわと減退させるでしょう。経済への波及効果が大きい住宅や自動車などの耐久消費財はローンで買われます。昨年、米国で個人消費が悪くなかったのは、利上げ前の駆け込み需要のおかげという面があります。今後は米国の個人消費が落ち込む可能性があり、年に3~4回と見られている利上げも、1回に止まるでしょう。その結果として、今後は円高トレンドになる可能性があります」
中原さんは、16年内はかなり値動きが激しい荒れた相場になると見ており、投資資金の30%に限定し、その30%も日経平均が1万5000円、1万4000円、1万3000円と下落するタイミングでの10%ずつの資金投入を勧めている。



