東大合格者数では全国トップクラスでも、国公立大合格力ランキングでは71位となった都立日比谷高(東京・千代田区)

私立中高一貫校全盛の中で公立校は

「国公立100大学合格力」全国ランキングのベスト10に、公立校はわずか2校のみで、私立と国立の中高一貫校が上位を占めていた。この傾向は大都市圏では特に顕著である。

 では、都道府県立の名門校はいまどのような状況になっているのか。今回は公立校だけを抜き出して全国ランキングを作成してみた。算出方法については、記事の末尾に掲載している。

 ランキングを眺めてみると一目瞭然だが、全体的に「西高東低」の状況にある。特に首都圏の公立校は、25位土浦第一(茨城)を除けば、38位浦和(埼玉)まで出てこない。首都圏には早慶上理やMARCHといった難関私立大や私立の医大・医学部が多いこともあって、進学校から私立大に流れてしまう傾向があるため、こればかりは致し方ないのかもしれない。東大合格者数では全国トップクラスの都立日比谷高がこのランキングでは71位という点にそのことが表れている。

 まずはランキング上位校を見ていこう。

 1位北野は、6位天王寺、9位茨木などと同様、大阪府教育委員会から「グローバルリーダーズハイスクール(進学指導特色校)」の10校に指定されており、予算が重点配分されている。指定校としては他にも、29位三国丘、60位大手前、99位豊中が100位内に入っている。

 東京大よりも京都大の合格実績を上げることが、大阪のこうした府立高にとっての最優先事項となっており、京都大合格者数第1位の北野は見事にそのミッションを果たした。

 洛星や洛南といった私立一貫校が京都大合格者数上位を占めていた地元京都でも、公立復権の動きが進んでいる。その象徴が「堀川の奇跡」と呼ばれた2位堀川と、中高一貫校である20位西京という2つの京都市立校だろう。特に堀川は大阪の北野と肩を並べる勢いである。もとは旧制一中だった府立洛北が京都のトップ校だったが、いまではすっかりこの2校の後塵を拝している。

 3位岐阜と4位旭丘(愛知)、8位四日市(三重)の中京圏トップ3校は、名古屋大への合格者数が目立つが、東京大と京都大も両にらみするような立ち位置にある。地元志向の強い名古屋市をはじめとした中京圏では、エリアトップの名古屋大に進むことがいまでも評価されている。ちなみに名古屋大と岐阜大は新たな法人として、2020年に「東海国立大学機構」を設立し、両大学が傘下に入る「1法人複数大学制」(アンブレラ方式)による統合の動きを進めている。

 7位札幌南は北海道の高校の頂点に長らく君臨してきた。とはいえ、北海道大への合格者数では63位札幌北に水をあけられるようになっている。地元高校の偏差値では札幌北と札幌西が、札幌南を僅差とはいえ追い抜いているようだ。