旧七帝大の中でも自由な校風が特徴の京都大は主としてAO入試を選んだ Photo:PIXTA

年々、応募者も合格者も増加傾向にある京大特色入試

 前回は東京大の推薦入試の現状と課題について見た。年々合格者数が減っており、大学が目標とする多様な学生の確保のためには改めて工夫が必要な状況にあるようだ。

 では、国立大もう一方の雄である京都大はどのように取り組んでいるのだろうか。東京大と同じく2016年から始めた非一般入試「特色入試」では、高大接続と個々の学部の教育を受ける基礎学力を重視している。

 前者については「調査書」、高等学校長等が作成する「学業活動報告書」や「推薦書」、「学びの設計書」といった書類を提出する。後者については、個々の学部におけるカリキュラムや教育コースへの適合力を判定するため、学部ごとの能力測定考査、口頭試問、論文、面接などを実施する。また、基礎学力の担保のため、医学部医学科以外は大学入試センター試験の成績も見ている。

 多くの学部では学力型AO試験を採用している。ただ、医学部医学科と工学部は推薦入試であり、法学部は後期日程枠を割り当てている。募集人員の合計は2020年入試で158人と、東京大の100人よりも多い。既卒すなわち浪人生も対象にしている学部学科が多く、東京大とはだいぶ色合いが異なるようだ。

 志願者数も2016年の616人から861人→919人→1049人と順調に増加しており、最終選考合格者数も81人→120人→128人→138人と伸びている。今年8月には特色入試説明会を大阪と東京で行っており、大学側の期待のほどもうかがえる。

 今回、4年間の合格者数の学校ごとの合格者数累計でランキングを作成した。東京大のように各校男女1人までという縛りもないため、その数も大きくなっている。データは大学通信の提供による。残念ながらすべての出身高校名は捕捉できず、累計で11人分が不明となっている点をまずお断りしておきたい。

 1位と3位に京都市立の人気校が並んでいる。

 1位西京の前身は京都府商業学校で、名門の商業高校だったが、2003年に現校名に変更、翌年には附属中学校を併設して、中高一貫校となった。これまでに11人の合格者を出しているが、2017年に6人の合格者が出たことが大きい。

「堀川の奇跡」と呼ばれた人気校が3位に入った。高等女学校の系譜にある伝統校で、「探究科」の設置で名をはせ、人気校となった。御所南小→京都御池中→堀川高から京都大という黄金コースができている。3位には京都私立の難関校である洛南も名を連ねている。

 2位は私立の大阪桐蔭10人。この3年間は毎年3人ずつの合格者を出している。高校野球と吹奏楽でも有名な学校だが、普通科は3つの類(コース)に分かれており、進学校としても評価を上げている。

 累計8名合格の5位には、旧制京都一中からの名門校で中高一貫化した府立洛北をはじめ、大阪府立の2トップである北野と天王寺も入っている。

 累計で3人以上の合格者を出している上位46校については次ページの表を参照していただきたい。上位は関西の学校であるが、14位の女子学院と渋谷教育学園渋谷は東京の私立中高一貫校であり、県立広島は東京大推薦入試合格者トップの新進気鋭の学校だ。

 東京の女子中高一貫校御三家である桜蔭は、東京大推薦合格者数では11位にランクされていたが、京都大ではその名前が出てこない。5人合格の女子学院や2人合格の雙葉との校風の違いがうかがえるようで興味深い。