仮想通貨(暗号資産)のビットコインは、今や単なる投機対象の枠を超え、「デジタルゴールド」としての側面も注目されている。
ゴールド(金)はインフレや地政学リスクに強い「価値保存資産」として知られているが、「デジタルゴールド」の呼称は、ビットコインもゴールドと同じような役割を果たすことができるという考え方に基づいている。
本記事では、ビットコインがなぜ「ゴールドに似た存在」として語られるのか、その特徴やゴールドとの違いなどを詳しく解説していく。
なお、イーサリアムなどをデジタルゴールドとする主張も見られるが、本記事ではビットコインをデジタルゴールドとして位置付けている。
- ビットコインはゴールドと同様に供給には上限があるため、希少性が高い
- ビットコインはインフレ耐性が高いことから、価値保存手段としての側面を持つ
- ビットコインはゴールドと同様、複製や改ざんが極めて困難
- ビットコインは発行上限が明確な数値で定められている点で、ゴールドと異なる
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デジタルゴールドとは?
「デジタルゴールド」とは、仮想通貨、特にビットコイン(Bitcoin / BTC)が、金(ゴールド)と同じように「価値を保存できる資産」として注目されていることから生まれた表現である。
この表現がいつから使われるようになったのかに関して、正確な時期は不明であるが、少なくとも10年以上前からだと考えられる。
例えば、米国のソフトウェア開発者であるAndresen(アンドリーセン)氏は、2011年のForbesのインタビューにて、ビットコインに関して「This is like better gold than gold.(これはゴールドよりも優れたゴールドのようなものだ)」と述べている。
このことから、少なくとも2011年頃には、ビットコインをゴールドの代替手段として扱う動きがあったことが推測される。
さらに、2015年には「ニューヨーク・タイムズ」のジャーナリストであるNathaniel Popper(ナサニエル・ポッパー)氏が、自身の著書「Digital Gold: Bitcoin and the Inside Story of the Misfits and Millionaires Trying to Reinvent Money」のタイトルにて、ビットコインを明確に「デジタルゴールド」と表現している。
そのため、2015年には、ビットコインに関する「デジタルゴールド」という比喩表現が一部で用いられるようになり、その概念が認知され始めたと考えられる。
現在にかけてその呼称はより普及し、ビットコインを「デジタルゴールド」と見なす考え方は、より一般的なものになりつつある。

デジタルゴールドの特徴を一覧で比較!
まずは、ビットコインとゴールドの特徴を一覧で比較する。
比較項目 | ビットコイン | ゴールド |
---|---|---|
希少性 | 高い | 高い |
特定の国家への依存 | なし | なし |
インフレ耐性 | 高い | 高い |
複製困難性 | 高い | 高い |
発行上限 | 2,100万BTC | 数値による上限設定なし |
物理的実体の有無 | なし | あり |
新規供給の仕組み | コンピュータによるマイニング | 物理的に地中から採掘 |
携帯性と送金性 | 高い | 低い |
時価総額* | 2.182兆ドル | 22.556兆ドル |
価格* | $109,784 (1ビットコイン) | $3,359 (1トロイオンス) |
このように、ゴールドと共通する資産性を持ちながら、よりデジタルで効率的な運用が可能な点が、ビットコインの特徴である。

デジタルゴールドと従来のゴールドの比較①類似点
次に、ビットコインと従来のゴールドとの類似点を解説していく。
- 希少性
- 無国籍資産
- 価値保存手段
- 複製困難性
希少性
ビットコインが「デジタルゴールド」と呼ばれる大きな根拠が、明確に定められた供給上限による希少性である。
これは、実物資産であるゴールドと極めて似た性質を持つ。
ビットコインとゴールドの供給構造
資産 | 供給上限 |
---|---|
ビットコイン | 2,100万BTC |
ゴールド | 実質的な上限あり |
ビットコインは、あらかじめ総発行枚数がプログラムで固定(ハードコーディング)されている。
この制約があるからこそ、インフレによって価値が薄まる懸念がなく、「価値を保存する」資産としての信頼性が生まれている。
ストックフロー比率
希少性を定量的に測る指標として、ストック(累積発行量)とフロー(新規供給量)の比率を表した「ストックフロー比率(※)」という考え方がある。
※ストックフロー比率=ストック÷フロー
この比率が高いほど希少性が高いということを意味するが、ビットコインとゴールドのストックフロー比率を比較すると、以下のようになる。
資産 | SF比率(2025年時点) | 備考 |
---|---|---|
ビットコイン | 約120 | ・既存供給約1,980万BTC(※1) ・年間新規供給約16.4万BTC(※2) |
ゴールド | 約62 | ・既存在庫185,000トン(※3) ・年間採掘3,000トン程度(※4) |
(※2) 出典:Coinbase
(※3)(※4) 出典:Crypto Briefing
要するに、ストックフロー比率の観点で言えば、ビットコインはゴールドの約2倍の希少性を持っていると言える。
このように、ビットコインはプログラムによって人工的に希少性が担保されており、ゴールドと同様の「価値ある有限資産」としての地位が認められつつある。
無国籍資産
ビットコインが「デジタルゴールド」と呼ばれる理由として、どの国にも属していない「無国籍資産」である点が挙げられる。
これは、ビットコインが法定(フィアット)通貨(日本円や米ドルなど)のように国家の信用や中央銀行の保証によって成り立つものではないことを意味しており、この点でゴールドと同じ性質を持っていると言える。
そのため、地政学的リスクや政治的な信用不安の影響を受けにくいというメリットがある。
法定通貨は基本的にその国の経済と信用に強く依存しており、財政不安や通貨安により価値が下落することもある。
一方、ビットコインは非中央集権的に運営される上、どの国の信用にも紐づかない中立的な存在であり、ゴールドと並ぶ「安全資産」として評価される大きな要因となっている。
価値保存手段
ビットコインが「デジタルゴールド」として注目される背景には、長期的に価値を保持しやすい「価値保存手段」としての側面がある。
これは、インフレや通貨安といった外部環境の影響を受けにくく、資産が目減りしにくい性質のことを指す。
現在「お金」として広く流通している法定(フィアット)通貨は、中央銀行による通貨発行量の調整(量的緩和・ゼロ金利政策など)に常にさらされており、「価値の希薄化」という構造的リスクを内包している。
こうした潜在的なインフレ・貨幣価値の下落圧力に対する対応策として、「発行上限がプログラムで固定され、中央主体を必要とせず、コピーが極めて難しく、生産にコストがかかるハードマネー」であるビットコインが、代替的価値保存手段として浮上してくる。
特に、インフレや経済が不安定な状況においては、法定通貨だけに頼ることに関するリスクが顕在化するため、価値が減りにくい資産として「価値保存手段」への注目が高まる傾向がある。
不確実な時代において、価値を維持する資産を持つことはますます重要になっており、ビットコインが注目される背景には、単なる価格上昇への期待だけではなく、「守りの資産」としての需要があると言える。
複製困難性
ビットコインが「デジタルゴールド」として評価される理由として、偽造や複製が極めて困難な構造を持っている点も挙げられる。
ビットコインは以下のような「二重支払い(ダブルスペンド=1つのビットコインを2回使おうとする試み)」を防ぐ仕組みによって複製・改ざんから保護されている。
- ブロックチェーン技術
全ての取引履歴を時系列で記録し、ネットワーク全体で共有
- 暗号署名
本人の秘密鍵で取引に署名するため、なりすましや偽造ができない
- マイニングと合意形成
一定の計算処理(Proof of Work)を経て、正当な取引だけが記録される
この構造はゴールドと同様、「本物であることの証明しやすさ」を意味しており、デジタル上でも同様の複製困難性を実現していると言える。
デジタルゴールドと従来のゴールドの比較②相違点
次に、デジタルゴールドと従来のゴールドの相違点について解説する。
- 発行上限
- 物理的実体の有無
- 新規供給の仕組み
- 携帯性と送金性
発行上限
ビットコインとゴールドは、どちらも「希少性を持つ資産」として認識されているが、その供給の仕組みには決定的な違いがある。
ビットコインには「明確な発行上限」が存在するのに対し、ゴールドには物理的な限界はあるが、正確な上限は存在しないという点である。
資産 | 発行上限 |
---|---|
ビットコイン | 2,100万BTC(固定) |
ゴールド | 制限なし(物理的な制約のみ) |
ビットコインは発行上限がハードコーディングされ明確に定められている一方で、ゴールドは、採掘される場所・技術によって供給量が変動する。
現代では地球上の大半の金鉱脈が発見されたとの見方もあるが、将来的に深海・極地・小惑星採掘などの技術が進化すれば、今よりも多くのゴールドが市場に流入する可能性も考えられる。
このように、発行上限の明確さと絶対性は、ビットコイン特有の特徴であり、ゴールドと決定的に異なる点である。
物理的実体の有無
デジタルゴールドと呼ばれるビットコインと、従来のゴールドには、「物理的な実体を持つかどうか」という根本的な違いがある。
ゴールドは金属として手に取ることができるが、ビットコインはデータ上にしか存在せず、「物理的な実体を持たない資産」である。
インターネット上にしか存在しないビットコインには、以下のような利便性がある。
- データとして保管できるため、世界中どこにいてもアクセス可能
- ネット経由で数分以内に送金・受取が可能
- 秘密鍵を紙やUSBに保存することで、物理的な形で“所有”することも可能
このように、実体により安心感を得られるゴールドと、実体がない代わりに利便性と透明性を追求したビットコインは、資産の在り方が異なる。
新規供給の仕組み
ビットコインとゴールドは、どちらも「新たに供給される仕組み」が存在するが、そのプロセスはまったく異なる。
ゴールドは物理的に地中から掘り出す「採掘(mining)」によって得られ、ビットコインはコンピュータによる計算処理を通じて新規発行される「マイニング(mining)」によって供給される。
資産 | 新規供給の手段 |
---|---|
ビットコイン | コンピュータで計算処理 |
ゴールド | 地中の鉱脈を物理的に採掘 |
このように、供給の仕組みそのものが「デジタル設計」であることが、ビットコインを「デジタルゴールド」として成立させている要素と言える。
携帯性と送金性
ビットコインが「デジタルゴールド」と呼ばれる中で、実物のゴールドよりも圧倒的に優れている点は、携帯性と送金性である。
これは、資産を「どこでも持ち運べて、すぐに送れる」性能のことであり、ビットコインとゴールドでは、以下のように大きな差がある。
資産 | 携帯のしやすさ | 送金のしやすさ |
---|---|---|
ビットコイン | スマホ1台で持ち運び可能 | インターネット接続さえあれば即座に送金可能 |
ゴールド | 重くかさばる。国外持ち出しに制限あり | 銀行・運送業者が必要/送金完了まで数日以上かかる |
ビットコインの強みは、たとえ数億円相当であっとしても、スマートフォンやUSBウォレットに収めることができる点だが、ゴールドは物理的な「重み」や「かさばり」が付きまとう。
この携帯性と送金性により、ビットコインは従来のゴールドでは成し得なかった新しい価値の使い方を実現していると考えられる。
デジタルゴールドの将来性
ここからは、デジタルゴールドの将来性を、以下の観点において考察する。
- 機関投資家の動向
- ETFと半減期の影響
機関投資家の動向
ビットコインが「デジタルゴールド」として本格的に認知され始めた転機として、機関投資家の参入がある。
かつては個人投資家や一部の技術愛好家が中心だったが、現在では機関投資家が資産の一部をビットコインに配分し始めている。
代表的なものとしては、以下のような参入事例がある。
企業・機関名 | 保有量 |
---|---|
MicroStrategy | 約60万BTC(2025年6月時点) |
Tesla | 約1万BTC(2025年4月時点) |
こうした動向は、ビットコインが「個人の投機対象」から「組織の運用対象」へと進化し、その信頼性と将来性への期待が高まっていることを示していると言えるだろう。

ETFと半減期の影響
ビットコインが「デジタルゴールド」としての地位を強めている背景には、ETFの承認と半減期の影響も大きく関わっている。
ビットコインETFの影響
ETFは、株式のように証券取引所で売買できる投資信託であり、ビットコインETFの登場によって、より幅広い層がビットコインにアクセスできるようになった。
- 規制下でも一定の取引が可能
- 信用力のある運用機関が提供
- 現物保有が不要
2024年1月に米国初の現物型ビットコインETFが複数上場して以降、機関・個人の双方にとって「購入しやすいビットコイン」として急速に浸透し始めている。

ビットコインの半減期が与える影響
ビットコインには、約4年ごとに訪れる「半減期」という仕組みがある。これはマイニング報酬が半分になるイベントであり、以降の供給ペースが減衰する。
半減期の影響 | 解説 |
---|---|
新規供給の減少 | 1日あたりの発行量が半減し、年間流通量も大きく低下 |
希少性の強化 | 発行上限がある中で、供給スピードがさらに鈍化 |
市場心理の改善 | 過去の傾向として、半減期後、緩やかに価格上昇が続きやすい |
2024年4月の第4回半減期を経て、年間供給量は16万BTC程度まで減少している。
このように、ETFによるアクセスの容易化と、半減期による供給制限という要因が重なることで、ビットコインの価値はさらに市場で評価されやすくなっている可能性がある。

デジタルゴールドの注意点・リスク
ビットコインは「デジタルゴールド」として市場の関心を集めているが、以下のような注意点・リスクもある。
- 保管方法
- ボラティリティ
- 51%攻撃
- 量子コンピュータ
保管方法
仮想通貨は、株式やETFのように証券会社の口座で一元管理されるわけではない。
とくにビットコインのような「自己保有型」の資産では、どのように保管するかがリスク管理に直結する。
ビットコインのような仮想通貨は、「第三者に依存せずに資産を管理できる」点が大きな利点であるが、同時に、管理責任もすべて本人にあるということを意味する。
例えば、自分で管理しているビットコインの秘密鍵を紛失すれば、誰にも復元することができず、保有資産に永久にアクセスできなくなる。
「少額であれば大手取引所に預ける」「中長期保有ならハードウェアウォレットを検討」など、「どこに・どうやって保管するか」は資産保全の観点における重要な選択肢である。

ボラティリティ
ビットコインは、ゴールドと類似する価値保存資産として語られることが多いが、最大の違いはそのボラティリティ(価格変動の大きさ)にある。
デジタルゴールドとしてのビットコインには将来性があるが、それと同時に「価格の大きな揺れにどこまで耐えられるか」を見極める姿勢も問われる。
「どれほどのボラティリティに耐えられるかがわからない」という人は、まずは一括投資ではなく分割購入(ドルコスト平均法)などを活用することが推奨される。
なお現在は、ボラティリティの高さが短期的な投機対象として注目されがちではあるが、長期的には、半減期などのイベントやETFの普及に伴って、価格変動が緩やかになっていくとの予測もある。
51%攻撃
仮想通貨に特有のリスクとして「51%攻撃」があるが、これは主にPoW(プルーフ・オブ・ワーク)方式の仮想通貨において、ネットワークの過半数の計算力(ハッシュレート)を1者または1組織が握ってしまう状況を指す。
攻撃者がネットワークの51%以上の計算力を持った場合、理論的には不正操作が可能になる。
なお、あくまで自身が署名した取引に関して不正操作ができるというだけであり、例えば攻撃者が他人の資産を直接盗むことなどはできない。
ただし、51%攻撃は、ブロックチェーンの構造的な脅威である一方、実質的な脅威度はネットワークの規模に比例する。
ビットコインは極めて高い総ハッシュレートに支えられている(世界中の膨大な計算資源が支える分散型の仕組みによって成り立っている)ため、現実的にはこのような攻撃が実行される可能性は低いと考えられる。
量子コンピュータ
ビットコインのセキュリティは堅牢とされているが、それでも将来的な脅威がないわけではない。
特に注目されているのが、ビットコインで使われている暗号アルゴリズムの安全性を脅かす存在として研究されている、量子コンピュータ(量子力学の原理を利用したコンピュータ)である。
量子コンピュータは、従来のコンピュータでは極めて困難とされてきた「公開鍵暗号の解読」を可能にするリスクが懸念されている。
しかし、現実には商用レベルでこのリスクが顕在化するまでにはある程度の年月がかかるとされており、今すぐに懸念すべきリスクではないと見られる。
また、量子耐性が必要になった場合でも、オープンソースで開発されているビットコインは必要に応じたアップデートが可能であるため、技術的な対応余地はある程度残されていると考えられる。

デジタルゴールドに関してよくある質問
- ビットコインには実体がないのに、なぜ「ゴールド」と同じように価値が認められているのですか?
-
ビットコインに実物の裏付けがないのは事実だが、それでも価値を持つ理由がいくつかある。
ビットコインには「物体としての価値」はないが、「限定された供給量・非中央集権性・分散的な信頼」といった側面が、ゴールドと同じように認められる価値となっている。
- ゴールドとビットコインは、どちらを買うべきですか?
-
ゴールドとビットコインにはそれぞれ利点があり、使い方によって評価が分かれる。
「伝統的で安定した資産を持ちたい」と考える人にはゴールドが、「将来的な成長性や携帯性を重視したい」と考える人にはビットコインが向いているだろう。
デジタルゴールドのまとめ
本記事では、デジタルゴールドに関して解説した。
- ストックフロー比率の観点では、ビットコインはゴールド以上の希少性を持っている
- ビットコインはどの国にも属さないため、地政学的リスクや政治的な影響を受けにくい
- 物理的実体を持たないビットコインは、ゴールドと比較して利便性に優れている
- ビットコインはインターネット環境さえあれば、スマホ1台ですぐに送金ができる
ビットコインは、「希少性・無国籍・インフレ耐性・偽造耐性」といった性質から「デジタルゴールド」として評価されている。
さらに、「発行上限が明確に固定されている・携帯しやすい・送金しやすい」などの観点においては、ゴールドの「デジタル上位互換」になりうる存在と考えることもできる。
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