今回紹介するNEM(ネム)は、新しい経済の仕組みの確立を目指して、2015年に誕生したブロックチェーンだ。
NEMは、2021年に大型アップデートが行われたのだが、その際、NEMをベースにした新たなブロックチェーン「Symbol(シンボル)」がローンチされたことで大きな話題を呼んだ。
今回はそんなNEMと、基軸通貨であるXEM(ジム)について、その特徴やXYMのこれまでの値動き、今後の見通しなどを解説していく。
- NEM(ネム)は、「New Economy Movement(新しい経済活動)」の略称
- その名のとおり、新しい経済の仕組みの確立を目指して、開発されたブロックチェーンである
- NEMはビットコインと比べて取引を早く処理することができ、決済手段としての普及が期待されている
- 2021年の大型アップデートで、「Symbol」という別の新たなブロックチェーンがローンチされた
- NEMの基軸通貨であるXEMは2021年中頃から下落基調に陥っている
NEMの基軸通貨であるXEMは、長らく下落トレンドが続いている。
しかし、現在は安値圏で推移していることから安く仕込むチャンスとも言えるだろう。
NEMおよびXEMに興味がある方はこの機会に、少額取引が可能なCoincheckのことも、合わせてチェックしてみてはいかがだろうか。
仮想通貨ネム(XEM/NEM)とは?
名称 | XEMトークン、XEM(ゼム) |
ティッカーシンボル・通貨単位 | XEM |
価格* | ¥2.58 |
時価総額* | ¥23,223,646,716 |
時価総額ランキング* | 268位 |
取り扱いのある主な仮想通貨取引所 |
Coincheck bitFlyer |
NEM(ネム)は「New Economy Movement(新しい経済運動)」の略称だ。その名が示すとおり、分散化や経済的な自由、平等などの原則に基づいた、新しい経済の枠組みの確立を目指すプロジェクトで利用されているブロックチェーンだ。
そのNEMの基軸通貨が「XEM(ゼム)」である。NEMでのネットワーク手数料の支払いや、取引の承認作業(ハーベスティングという)をおこなったネットワーク参加者に対する報酬などに用いられている。
本記事執筆時点におけるXEMの時価総額は約232億円で、時価総額ランキングでは268位*にランクインしている。*2024年10月10日時点、CoinMarketCap調べ
仮想通貨ネム(XEM/NEM)の特徴
ブロックチェーンのNEMと、その基軸通貨であるXEMには、主に次のような特徴がある。
- ビットコインと比べて、取引の処理スピードが速い
- コンセンサスアルゴリズムにPoI(プルーフ・オブ・インポータンス)を採用している
- 2021 年の大型アップデートで、ブロックチェーン「Symbol」がローンチされた
ビットコインと比べて、取引の処理スピードが速い
ブロックチェーンにおける取引の処理スピードには、取引の情報を記録するブロックの生成スピードが大きく関わっている。
そこでビットコインとNEMを比較すると、ビットコインは1つのブロックを生成するのに約10分を要する一方、NEMは約1分で1ブロックを生成することが可能だ。
つまり、NEMはビットコインよりも取引の処理スピードが速く、その性能を活かして、決済手段としての普及が期待されている。
コンセンサスアルゴリズムにPoIを採用している
NEMでは、コンセンサスアルゴリズムに「プルーフ・オブ・インポータンス(PoI)」が採用されている。
コンセンサスアルゴリズムとは、取引を承認してブロックに記録する際に必要な、合意形成の仕組みのこと。
ブロックチェーンごとで異なっており、例えばビットコインならプルーフ・オブ・ワーク(PoW)、イーサリアムではプルーフ・オブ・ステーク(PoS)が採用されている。
NEMのコンセンサスアルゴリズムであるPoIは、NEMプラットフォームへの貢献度が高いほど、取引を承認する権利を獲得することが可能で、承認作業をおこなえば、報酬としてXEMを得られる仕組みになっている。
貢献度が高いほどリターンを得やすくなるため、リターンを求める参加者が多くいるほど、プラットフォームの利用が促進され、XEMの流動性も上がっていく。
ちなみに、ビットコインでは取引の承認作業をおこなってリターンを得ることを「マイニング」と呼ぶが、NEMの場合はそれを「ハーベスティング」と呼ぶ。
また、NEMのハーベスティングは自ら参加するだけでなく、第三者に自身の権利を委任することも可能だ。
2021 年に大型アップデートでSymbolがローンチされた
Symbol(シンボル)は、2021年3月に実施されたNEMの大型アップデートで生まれた、NEMとはまた異なるブロックチェーンだ。
NEMのエコシステムには現状、XEMを基軸通貨としたNEMブロックチェーン(NEM NIS1)と、XYM(ジム)を基軸通貨としたSymbolブロックチェーンという、2種類のブロックチェーンが存在していることになる。
両者 はそれぞれ役割が違い、NEMは、個人やコミュニティ、企業などユーザーの属性に関係なく利用できるブロックチェーンだ。一方で、Symbolはエンタープライズ(公的機関や企業向けのサービスのこと)のニーズに特化しているため、Symbolが誕生した後も、NEMは変わらず稼働し続けている。
仮想通貨ネム(XEM/NEM)の価格動向
ここで、XEMのこれまでの価格動向を、XEM/USD(米ドル)チャートで確認しておこう。
2016年からの価格動向
まずは、2016年から本記事執筆時点(2024年10月)までの長期的な値動きを、XEM/USDチャートで振り返ってみよう。
チャートを一見してわかるとおり、XEMは2017年末から2018年初頭にかけて、大きく価格が高騰している。
これはいわゆる“ビットコインバブル”に起因するもので、ほぼ同時期にビットコインやイーサリアムなどでも急騰が見られた。
しかし、バブルが崩壊すると、XEMは短期間で急落してしまい、2018年中頃から2020年中頃までは、値動きそのものが乏しくなってしまった。
ちなみに、2018年の急落には、日本の仮想通貨取引所の1つであるCoincheckで発生した、XEMの大量流出事件も影響している。
大量流出は、Coincheckのシステムがハッキングを受けたために起きたことであり、XEM自体には落ち度がなかったのだが、バブル崩壊のタイミングと重なって、XEMの価格に大きな影響を与えた。
その後、2020年中頃から2021年の前半に、仮想通貨市場全体が活況になる中で、XEMにおいても復調の動きが見られたが、2017~2018年のバブル時につけた史上最高値には遠く及ばなかった。
昨今のXEMは、ビットコインやイーサリアムなどと比べて、投資対象としての注目度が落ちてきていると言えるだろう。
なお、2021年中頃から、XEMの値動きは下落基調に転じており、さらに2022年中頃を過ぎると、値動きそのものが乏しくなっている。
直近の価格動向
次に、本記事執筆時点(2024年10月)から遡って、直近6か月の価格動向もチェックしておこう。
2024年5月はレンジ相場を形成していたが、5月後半に入ると大きく下落していることが分かる。
これは、大手海外取引所バイナンスにて上場廃止されたことが影響している。バイナンスでの上場廃止が公表された直後から一気に売り圧力が加速した。
現在は、BTCやETHの現物ETF承認により仮想通貨市場は上昇基調にあるがXEMは単独で下落している。
今後ポジティブなニュースが出れば上昇する可能性もあるが、開発活動のレベルと質の面でバイナンス側が廃止に至ったことから、あまり期待はできないと考えて良いだろう。
仮想通貨ネム(XEM/NEM)を購入できる取引所
XEMを取り扱う国内の仮想通貨取引所はいくつかあるが、今回はその中から以下の3社をピックアップして、それぞれの基本情報や特徴を紹介していく。より詳しく知りたい方は仮想通貨取引所おすすめランキングを確認するのもおすすめだ。
Coincheck
提供する取引の種類 | 現物取引(販売所・取引所) |
取り扱う仮想通貨 | 30種類 BTC、XRP、ETH、BCH、XEM、 LSK、LTC、ETC、XLM、MONA、 QTUM、BAT、IOST、ENJ SAND、DOT、PLT、FNCT、CHZ、 LINK、DAI、IMX、APE、MATIC、MKR、 AXS、WBTC、AVAX、SHIB、BRIL |
最小取引数量 (XEMの場合) |
現物取引(販売所):500円相当額 現物取引(取引所):取り扱いなし |
取引手数料 (XEMの場合) |
現物取引(販売所):無料、スプレッドあり(0.1~5.0%) 現物取引(取引所):無料 |
仮想通貨の送金手数料 (XEMの場合) |
0.5 XEM |
その他のサービス | Coincheckつみたて Coincheck IEO Coincheck NFT Coincheckでんき Coincheckガス Coincheckアンケート 貸暗号資産サービス ステーキングサービス(β版) |
公式サイト | Coincheck公式サイト |
関連記事 | Coincheckの評判・口コミ |
先ほど、XEMの価格動向を解説する中で述べたとおり、Coincheckでは2018年1月に、ハッキングによるXEMの大量流出が発生している。
しかし、ハッキングの被害を受けたあと、Coincheckは大手金融グループのマネックスグループに買収される運びとなった。子会社化されてからは、同グループの持つ高度な技術を用いて、堅牢なセキュリティ体制が築かれている。
そのため現在は、安心してCoincheckで仮想通貨取引を楽しめるようになっている。
取り扱う仮想通貨は30種類で、そのすべてに対してワンコイン(500円)から投資することが可能だ。
また、取引アプリがダウンロード数でNo.1*を獲得するほど人気があり、シンプルで扱いやすいものになっている。*対象:国内の暗号資産取引アプリ、期間:2019年〜2021年、データ協力:AppTweak
GMOコイン
提供する取引の種類 | 現物取引(販売所・取引所) レバレッジ取引(販売所・取引所) |
取り扱う仮想通貨 | 26種類 BTC、ETH、BCH、LTC、XRP、 XEM、XLM、BAT、OMG、XTZ、 QTUM、ENJ、DOT、ATOM、XYM、 MONA、ADA、MKR、DAI、LINK、 FCR、DOGE、SOL、CHZ、ASTR、 FIL、SAND |
最小取引数量 (XEMの場合) |
現物取引(取引所):1XEM / 回 |
取引手数料 (XEMの場合) |
現物取引(取引所):Maker:-0.03%Taker:0.09% |
仮想通貨の送金手数料 | 無料 |
その他のサービス | つみたて暗号資産 貸暗号資産 ステーキング IEO API |
公式サイト | GMOコイン公式サイト |
関連記事 | GMOコインの評判・口コミ |
GMOコインは、東証プライム上場のGMOインターネットグループに属している仮想通貨取引所だ。
サービスの充実度が高いことが大きな特徴で、取り扱い通貨は国内最多クラスとなる26種類がそろい、取引のサービスは現物取引とレバレッジ取引が用意されている。
また、現物取引とレバレッジ取引のどちらも、取引の形式を、仮想通貨取引所とユーザーの間で取引をする「販売所」と、ユーザー同士で取引できる「取引所」から選択できる。
XEMは取引所で扱っており、コストを抑えた取引が可能だ。
取引以外のサービスも豊富で、自動積み立てやレンディング、ステーキングなど、多くの投資家が求めるサービスは一通りそろっている。
サービスの内容や充実度はユーザーからも高く評価されていて、オリコン顧客満足度調査では、2年連続で顧客満足度No.1*を獲得した。*2022年 オリコン顧客満足度® 調査 暗号資産取引所 現物取引 第1位
仮想通貨ネム(XEM/NEM)の取引方法
続いては、先ほど取り上げたCoincheck公式サイトを例にして、XEMを取引する方法を紹介しておこう。
- Coincheckで口座を開設する
- 投資資金を口座に入金する
- 取引ツールで値動きを分析する
- 数量を決めて、ポジションを建てる
Coincheckで口座を開設する
まずはCoincheck公式サイトにアクセスして、口座開設を申し込もう。
Coincheckでの口座開設手順は以下のとおりで、本人確認手続きは、スマホで自身の顔と本人確認書類を撮影アップロード形式で行える。
- メールアドレスを登録する
- 各種重要事項を確認する
- 電話番号認証をおこなう
- 個人情報を入力する
- 本人確認書類を提出する
投資資金を口座に入金する
口座開設が完了したら、次はその口座にレバレッジ取引の証拠金となる資金を入金しよう。
Coincheckの場合、入金方法は銀行窓口やATMなどから振り込む振込入金と、インターネットバンキングを用いたクイック入金のコンビニ入金の3種類から選択可能だ。
取引ツールで値動きを分析する
XEMに限らず仮想通貨は、他の金融商品と比べて価格変動が大きくなる傾向がある。
そのため、資金を入金して取引を始める準備が整っても、闇雲に手を出さず、まずは落ち着いて取引ツールのチャート機能を使い、値動きをよく分析しよう。
Coincheckの取引ツールなら、アプリ版・PC版ともに豊富な描画ツールやテクニカル分析指標を使って、細かく値動きを分析することができる。
数量を決めて、ポジションを建てる
値動きをよく分析して、取引のタイミングを見定めたら、いよいよXEMを取引してみよう。
ストリーミング(成行)注文をおこなう場合は、XEM/JPYの通貨ペアで売買方法を「買い」か「売り」に設定し、注文数量を決めて、注文を入れよう。
また、指値注文などを使って、より有利な価格での約定を狙ってみるのもよいだろう。
以上、Coincheckを例にして、XEMを取引する方法を紹介した。
口座開設は無料でできるので、興味がある方はこの機会にCoincheck公式サイトにアクセスしてみてはいかがだろうか。
仮想通貨ネム(XEM/NEM)の今後の見通し・将来性
最後に、NEMおよびXEMの将来性について考察してみよう。
- マクロ経済の流れ次第で、XEMの復調も見込める
- 関連ブロックチェーンの「mijin」が普及していく可能性がある
- 競合に打ち勝てるのかが不透明
マクロ経済の流れ次第で、XEMの復調も見込める
先ほど紹介したとおり、XEMは2021年の中頃から長らく下落基調に陥っているのだが、この下落にはマクロ経済の動向が大きく関わっている。
2021年に入って新型コロナの感染が終息していき、世界の経済活動が活発化すると、人員や資源の供給不足などの要因で、世界各国が高インフレな状態となった。
インフレを抑えるために、各国政府が金融引き締め政策を取るようになると、政策への警戒感から、仮想通貨市場は冷え込んでいってしまった。
もっとも、金融引き締め政策は永遠に続けられるものではない。インフレに対する効果が表れれば、金融引き締め政策も減速、もしくは終了すると見られている。
そのようにマクロ経済の風向きが変われば、XEMを含む仮想通貨市場も、復調する可能性が十分にある。
関連ブロックチェーンの「mijin」が普及していく可能性がある
「mijin」は、日本のソフトウェア開発企業であるテックビューロ株式会社が、NEMのプロトコルを活用して開発したブロックチェーンだ。
企業もしくは企業間で用いられるプライベートブロックチェーンであり、NEMと互換性のあるAPIも実装している。
mijinはすでに国内外の300社以上に導入されており、今後もmijinの需要が増していけば、NEMにもポジティブな影響が表れるかもしれない。
競合に打ち勝てるのかが不透明
これまでXEMは、取引の処理スピードが速いという特徴を活かして、決済手段としての普及が着実に推進されていた。
しかし近年、ビットコインやイーサリアム、ライトコインなどのメジャーな通貨が、決済手段として普及していく一方で、XEMはそれらに押し負ける傾向が見られる。
例えば、XEMを決済通貨に採用した日本の店舗が掲載されている「nem map(ネム マップ)」というサイトを見てみても、2019年5月を最後に、XEM決済を採用した新規店舗の掲載がストップしており、苦戦の様子がうかがえる。
また、決済手段としての普及を目指すなら、価格の安定を目的として開発された仮想通貨“ステーブルコイン”の台頭も無視できない。
もしもこれからXEMに投資するなら、他のブロックチェーンや仮想通貨と比較して、NEM・XEMの相対的な立ち位置がどのように移り変わっていくのかも、注視しておくべきだろう。
仮想通貨ネム(XEM/NEM)の予想まとめ
今回は、ブロックチェーンNEMとその基軸通貨XEMの特徴や、今後の見通しなどを解説した。
- NEMは、新しい経済の枠組みの確立を目指すプロジェクトで利用されるブロックチェーン
- 基軸通貨はXEMで、NEMでのネットワーク手数料の支払いなどに用いられている
- 取引の処理スピードが速く、決済手段としての普及が期待されている
- 2021年中頃からXEMの価格は、長らく下落基調が続いている
仮想通貨市場全体が停滞する中で、XEMも2021年中頃から本記事執筆時点(2024年10月)まで下落基調に陥っている。
しかし、この下落はマクロ経済の影響が大きいため、経済の風向きが変われば復調していく可能性が十分にある。
今後の復調に期待するのであれば、もちろんリスクコントロールを適切におこないつつ、割安な水準と言える今の内にXEMを保有してみるのもよいだろう。
Coincheckであれば、約500円ほどの少額からXEMの取引をすることが可能だ。
XEMの将来性に期待するなら、この機会にCoincheck公式サイトのこともチェックしてみてほしい。