新課程共通テスト英語の概要

 2025年新課程共通テスト英語について簡単にまとめると下記のようになります。制限時間や配点、出題形式は現行と変更はありません。英語は形式の大きな変化はありませんでしたが、語数が増えるなど、試作問題でチェックしておいた方が良いことがいくつかありました。

制限時間や配点 ◯英語(R 80分 100点 / L 60分(解答時間は30分)100点)※他の外国語は筆記80分200点
出題形式 上記の形式以外の変更は基本的に記載なし。
試作問題の概要

文章量が増える。今までのように長い一つの文章だけでなく、資料読み取り、論理的な文章の組み立て方に沿って主張をまとめたり論拠を整理したりする問題や、文章を校正・編集する問題も出題される。

※参考:大学入試センター

新課程共通テスト英語の問題作成方針

 まず英語の問題の作成方針から重要な箇所をお伝えします。

  1. 文字と音声の特性を生かして、「聞く」「読む」「話す」「書く」を統合した総合的な英語力を測る。
  2. 実際のコミュニケーションを想定した明確な目的や場面、状況の設定を重視。
    情報や考えなど、話し手や書き手の意図などを理解する力を引き続き重視。 
    理解した情報や考えを整理、何をどのように取り上げるかなどを判断する力を重視。
  3. 発音・アクセント・語句整序などを単独で問う問題は作成しない。
  4. リーディング」「リスニング」ともに、CEFR A1からB1レベル相当の問題を作成。
  5. 「リーディング」と「リスニング」の配点を均等とする。ただし、具体的な比重は、4技能を総合的に評価するよう努めた上で各大学の判断に委ねられる。

参考:大学入試センター 令和7年度大学入学者選抜に係る大学入学共通テストの出題教科・科目の問題作成方針に関する検討の方向性について 

 4技能の統合問題が出題されること、センター試験時代に出題された発音・アクセントや並び替え問題は対策する必要がないこと、現行の共通テストと同様に英検3級から2級相当の難易度で難しい語彙を覚える必要がないこと、リーディングとリスニングの配点は今まで通り大学次第であることが公表されました。これだけでも英語の対策内容は変わってきますね。

2025年新課程共通テスト英語の試作問題

 それではここから現在公表されている試作問題の内容を見ていきましょう。今回の試作問題では、どこの大問に入るかは言及がありませんが、英語リーディングA問題とB問題の2つ、リスニングでC問題が公表されました。それぞれ新傾向の問題です。

  • 第A問(配点18点)リーディング…授業中の生徒のスマホ使用に関して5人の意見を読みとって、エッセイのアウトラインを作る問題。
  • 第B問(配点12点)リーディング…英語の授業で書いた文章に先生がコメントを書いている形式で、文や語句でなにを補うべきかなどの問題。
  • 第C問(配点15点)リスニング…大学の講義の要点をグループメンバーで話し合う問題。

リーディングの試作問題(第A問・第B問)

 まずは第A問から見ていきましょう。第A問ではStep1、2、3と分かれています。

英語試作問題第A問
出典:大学入試センター

 Step1では授業中のスマホ使用の是非について5人の意見を読み取ります。A(先生)、B(心理学者)、C(保護者)、D(高校生)、E(校長)と順にそれぞれの立場での意見を読み取ります。

英語試作問題第A問②
出典:大学入試センター
英語試作問題第A問③
出典:大学入試センター

 Step2ではスマホ使用は禁止という立場で文章を書くための準備をします。Step3では実際に文章のアウトラインを作成するために導入から結論までの書き方について展開されていきます。

 続いて第B問です。

英語試作問題第B問
出典:大学入試センター

 英語の授業で社会問題について自分の考えを書いて、それを先生のコメントをベースに修正していく内容になっています。読者にわかりやすいように論理構成や展開を修正していきます。ファッションと環境というテーマも今どきの内容になっています。

 このようにリーディングの第A問、第B問とも4技能の中の「ライティング」を意識した問題となっていました。こちらが始めに説明した「➀文字と音声の特性を生かして、「聞く」「読む」「話す」「書く」を統合した総合的な英語力を測る」という内容の問題です。リーディングの問題でライティングの英語力を測っています。

 この新傾向は読解できれば対応できるので、大きな問題にはならないと思われます。しかし、特に気になった点は第A問の語彙数が約1300語であったことです。下表のように最近での1題の最大語数は昨年の約1150語でしたが、今回の試作問題はそれを超えています。

 試作問題では総語数の比較はできませんが、近年の総語数は年々上昇しており、2年連続6000語を超えています。80分の試験で総語数6000語、マークや見直しで5分かかると仮定すると、150wpm*で解いた場合、読む時間が40分、考える時間35分に、120wpmだと読む時間は50分、考える時間25分になります。このように総語数が年々増えて、速く英文を読み取る必要性が高くなっているため、普段から英文を最低でも1分間で120語、目標は150語読むことを意識して、練習していくと良いでしょう。

*wpm:words per minute (1分間に読める語数)

共通テスト・センター試験英語リーディングの傾向
実施年

1題あたりの

過去最大語数

総問題数 総語数
2023年

約1150語

(第6問B)

49問 約6100語
2022年

約1050語

(第6問B)

48問 約6050語
2021年

約950語

(第5問)

47問 約5500語
2020年

約850語

(第6問)

54問 約4400語

※2020年はセンター試験 発音アクセント文法問題あり

リスニングの試作問題(第C問)

 最後に第C問についてです。こちらはリスニングの内容になっています。まず、リスニングの問題作成方針について少しお伝えします。

英語リスニングの問題作成方針

十分な読み上げ時間を確保し、重要な情報は形を変えて複数回言及するなど、自然なコミュニケーションに近い英語の問題を含めて検討する。全ての問題を1回読みにする可能性についても今後検証しつつ、当面は1回読みと2回読みの両方の問題を含む構成で実施することとする。

参考:大学入試センター 令和7年度大学入学者選抜に係る大学入学共通テストの出題教科・科目の問題作成方針に関する検討の方向性について

とあるように、1回読みと2回読みの両方が数年間は出ると思われます。令和5年度の共通テストも第1、2問では音声が2回流れ、第3問から第6問までは1回流れる混合の問題となっています。なお、今回の第C問は1回読みの内容でした。

英語試作問題第C問①

出典:大学入試センター

英語試作問題第C問②
出典:大学入試センター

 試作問題の第C問は、アメリカの大学で幸福感についての講義を聞いて、学生同士で講義の内容についてディスカッションしている内容になっています。グループ内のディスカッションで、どちらの話が講義の内容に一致しているかを問う問題があるなど、「話すこと[やり取り]・[発表]」にも繋がるような問題となっていました。また、図表、ディスカッション内容、講義内容からどのようなことが言えるかを選ぶ問題もあり、得た情報や自らの考えを表現・発信するために、情報や考えを整理・構築する力も問われるようです。

新課程共通テスト試作問題 英語まとめ

 今回はリーディングもリスニングも形式としては大きな変更点はありませんでしたが、過去のセンター試験や共通テストと今回の試作問題を比較してみると、知識を詰め込んで点数が取れるテストから、年々文量が増え、思考問題や読み取り問題が増えていることがわかります。つまり、親の時代の入試問題とは大きく異なっていること、受験勉強自体に時間数がより必要になっていることを理解して、子どもを勉強へと早く導くことが必要になります。

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