2022年度入試、最大の注目校は関西に
後藤 前回取り上げた私立大では、千葉工大が10万人超で近畿大に次ぐ2位に躍進して話題となりましたが、国立では千葉大は相変わらず人気がありますね。
安田 みんな受けに来る後期試験が、東京近郊で残っているのは千葉大くらいとなりましたから。後期試験は、旧帝大では北海道大にありますし、関西では神戸大にもあります。
後藤 ところが大阪大は後期試験をやめてしまった。その結果でしょうか、10位大阪大(6991人)も前年比▲471人と、大阪府立大と同様減らしています。一方で、隣の兵庫県では神戸大も兵庫県立大も志願者を増やしていることが好対照で興味深い。
安田 2022年度入試の国公立大志願者数1位だけは今から予言できます(笑)。5位大阪府立大と20位大阪市立大が合併して誕生する大阪公立大(仮称)です。2021年度の志願者数を単純合計しても1万3789人と千葉大を大きく上回りますから。募集定員も、大阪大、東京大に次ぐ第3位となりそうです。
後藤 6位東京都立大(7758人)の2倍近い規模ですね。首都大学東京から2020年度に元の都立大に校名を戻した背景には、一度否決された大阪都構想がありました。住民投票で再び否決されなかったら、“大阪都立大”が誕生するかもしれなかった(笑)。在校生数は1万6000人ほどになりますから、公立大学では日本一の規模です。
安田 大阪商科大学がルーツの一つである大阪市立大には医学部もありますし、法学部からは法曹に進む確率も高く、裁判官も出ていますから。府立との合併で志願者数では全国トップになるし、ひょっとすると国立の神戸大や大阪大の志願状況にも影響するかもしれません。なんか入りやすそうですし(笑)。
後藤 幅広い学部を備えた良い大学になるんですよ、市立と府立を合わせると。もしかすると化けるかもしれませんね。これは関西の目玉です。もし、今回のゴタゴタを皆がきれいに忘れてくれれば(笑)。
安田 英語表記では、当初University of Osakaとしようとして、大阪大(Osaka University)から紛らわしいと苦情が入り、一悶着がありました。
後藤 結局、Osaka Metropolitan Universityという都立大(Tokyo Metropolitan University)と同様の表記となり、ここでは都構想が実現できました(笑)。