問いが次のヒントに

石田 さて、最後に到達する整数は何か。到達した数の値だけ次に進む、というルールを考えてみてください。1以外は2から6までの整数です。

 お分かりになりますか? 6という数に途中で到達したら、6進むことになります。ところが、円形に数は並んでいるので、6進むと6に戻ってしまいます。「すべての整数にちょうど1回ずつ到達する」のですから、途中に6は存在できません。ですから,最後の数は6でなければいけません。

 そうすると、次の「1の向かい側の整数」は何でしょうか? ここは少し難しいですね。全体の合計に着目する、ことに気付くには少し経験が必要かもしれません。最後の数は6であることが分かりました。この6を除くと、1からの移動量の合計は1+2+3+4+5=15となります。1周は6ですから、15ですと2周回ってさらに3進むことになります。

 これはちょうど1の向かい側ですね。ですから、1の向かい側は6になるわけです。後は残りの「2、3、4、5」を4つの場所に当てはめていくことになります。ここはルールに沿うように、試行錯誤しながら順番に数を当てはめていくことになります。

――問いが次のヒントになっていることに気付けるかが、分かれ目になりますね。

石田 次の小問(2)では、A=7の時は条件を満たすようには並べられないことの説明が求められます。このような「説明」は、中学以降の数学では「証明」として求められる作業です。先ほど述べたように、数学では結果が言えるだけでなく、その「途中」が「つなげられるか」が重要です。そういった姿勢を持っているかを聞いているのでしょう。

 ここでもやはり、小問(1)の結果を振り返って、そこから本質をつかみ出して活用できるかがポイントです。先ほどの作業の結果から、この場合も最後の数はA=7になりますね。そして、先ほどと同じくすべての移動量の和を求めると、今回は1+2+3+4+5+6=21になります。21は7の倍数ですから、21進んだら初めの1の場所に戻ってしまうことになります。これでは最後の7を置くことができませんね。これで説明ができたことになるわけです。

 最後の小問(3)は、A=8の場合のすべての並びを書き出すのですが、これをもれなく書き出すことは、試験時間内では難しいかもしれません。それでも、前の結果を振り返れば、いくつかはすぐに書き出せます。そのあたりを、先生方は評価していらっしゃるのだと思います。

――こうした学びは、算数・数学に限られたわけではなさそうです。次回は、数学以外の大学入試の問題を見ながら、それらと中学受験を結ぶことは何かについても考えてみたいと思います。