
なぜ、今年受験するのに昨年の大学案内を見る!?
総合型選抜の出願には、まず出願資格の確認を行う。例えば、高校の評定平均に「3.5以上」といった基準を設ける大学がある。あるいは、実用英語技能検定(英検)などの取得級やスコアなどを出願資格とする学部学科、オープンキャンパスなどで開講される「事前セミナー」「体験ゼミナール」などの受講が必須となっているケースも見られる。
高校在学中の部活動や留学は自分をアピールする格好の材料となるが、中にはそうした経験を必須とする学部・学科も存在する。一例を挙げると、法政大学「グローバル体験公募推薦入試」では海外留学の経験が必要となる。早稲田大学スポーツ科学部「スポーツ自己推薦入試」では、全国大会出場レベルの競技成績を持つ人のみに出願を認めている。
また、「アドミッションポリシー(入学者受け入れの方針)」を読み、大学がどのような学生を求めているかを十分理解することが必須だ。アドミッションポリシーは、募集要項や大学案内に記載されているので、必ず最新の募集要項や大学案内を入手しよう(※)。入試に関する情報は出願までに変更されることもあるので、大学のウェブサイトのこまめな確認も不可欠だ。
なぜ、こうした“当たり前”のことをあえて申し上げるのか。それは、筆者が予備校のセミナーや私立大学のオープンキャンパスの場で、受験生を相手に総合型選抜についてレクチャーする際、事前に「最新の大学案内と募集要項を持参してください」とアナウンスしておいても、毎回必ず、昨年や一昨年の資料を持参する受験生が一定の割合でいるからだ。
大人にはにわかに信じがたいかもしれないが、兄弟姉妹や高校の先輩から譲り受けたものを持って来て「これで大丈夫だろう」と安易に高をくくっている。近年の大学は、1~2年の間にカリキュラムを大きく変更したり、新しい学部を設置したりすることも多い。そうなると、必然的に出願資格やスケジュールが変更となる場合もある。大学案内のみならず、他の受験情報に関しても“これで大丈夫だろう”と勝手に思い込まないで、必ず最新の情報を入手する心構えを持ちたい。
大学案内や募集要項には必ず全体に目を通し、アドミッションポリシーはもちろん、特に総合型選抜を受ける受験生は「建学の精神」「教育の理念」「大学の沿革」「学長メッセージ」をしっかり読んでおく必要がある。これらこそが、アドミッションポリシーの根幹を成す大学の存在意義を物語るからだ。“適当に読み飛ばす”受験生も多いようだが、合格のためにはむしろこれらを熟読することを勧めたい。
その他、受験する大学の入試が「専願」か「併願」可能かにもよく注意しよう。総合型選抜は「専願」(=合格すれば必ず入学)が大半だが、同じ大学の他学部、あるいは他大学を併願できる大学・学部もある。
※ 大学案内や募集要項は「テレメール進学」などの資料請求ポータルサイトからも入手可能