大学に2026年度入試での負担軽減策を「伺う」!?
「今後、文部科学省から各設置者に対して、令和8年度入学者選抜に向けた対応状況や対応方針等について伺うことを予定しています」(※1の<質問12>引用)
令和8年度入試、つまり2026年4月の入学者選抜では、すでに総合型選抜が実施されており、合格発表は11月から始まる。併願可能な総合型選抜も増えており、仮に入学金の減額や分納、返還などを新たに行うとすると各大学は早急な対処を求められ、前述のように、ホームページなどで変更内容の告知を行わなければならない。
文部科学省は「対応状況や対応方針等について伺う」ため、どうやって大学にコンタクトを取るのだろうか。都内の私立A大学の入試担当者は「前例に照らして『主に電話での聞き取りや確認』を行うのでは」と予測する。また、「伺う」以外にも、同省は「各大学のホームページに入学金の負担軽減に向けた告知が掲載されたか、担当者が熱心に確認していると思われる」(同氏)という。
Webサイトの文面からは、文部科学省が入学金に関わる負担軽減要請に本腰を入れる姿勢が見て取れる。しかし、全ての大学がその求めに応じ、26年度入試から一斉に軽減措置を実施するかといえば、すでに11月であることを考えても可能性は未知数と言わざるを得ない。
都内B大学の入試担当者は「入学金の返還、支払い期限の延長とも今のところ実施する考えはない」としたうえで、「周囲の大学と情報交換しながら動きを見つつ、機を見て動く考えです。現状では、本学が他大学に先駆け、率先して対応するメリットはない」と本音を吐露する。
さらにC大学の入試担当者も「入学金の返還や支払い期限の延長という措置の是非はさておき、大半の大学が手続きの変更を余儀なくされるのであれば、個々の大学に判断を求めるのではなく『一律のルール』として国に定めてほしい」と注文を付ける。ただし、文部科学省が各大学に「伺う」ことについては、「現行の入学金の必要性や妥当性に関する説明資料を整え、本学の考えをきちんとお伝えしたい」と、準備に抜かりがない。
