5級からある優遇措置
例年であれば、6月に入ると各校が一斉に2021年入試日程と試験内容を公表するのだが、新型コロナ禍で学校説明会もままならない状況下で、一部の学校は9月まで発表を見合わせるといった告知をすでにしているなど、動きは鈍い。
このような状況なので、2020年の入試実績に基づいて、取得者に御利益のある首都圏の中高一貫校について見ていきたい。
全体的な傾向としてまず指摘できることは、優遇措置を設けているのは女子校が多い、という点だろう。「国際化」教育で生き残りを図ろうとしている中堅以下の女子校にとって、一定以上の英語能力を備えていて、英語を学ぶことが好きな生徒が入学してくれることは大歓迎である。
先ほど、英検は5級から設けてあるといったが、まさに5級から優遇措置が受けられる学校がある。具体的には、文京学院大学女子、女子聖学院、淑徳SC、桜丘、麹町学園女子といずれも東京の、桜丘以外は女子校である。取得している級に応じた加点という例が多いのだが、「英語リスニング免除」(麹町学園女子)、「奨学金の対象者」(淑徳SC)といった具合に、ほかにもメリットはある。
4級取得者に対しては、優遇する学校数が倍増する。加点方式の学校も多いが、目立つのは「英語(筆記)試験免除」(聖徳学園、聖園女学院、函嶺白百合学園)といった優遇措置である。ちなみに、こうした優遇は「英語特別」(文化学園大学杉並)のように、入試ごとに設定されている。
3級といえば、昔は中学卒業時に受けてみる検定という印象が強かった。さすがにこれまでの「中学卒業程度」であり、英単語も1000くらいは知っているはずなので、普通の小学校高学年にはいささかハードルが高い。