2021年2月入試の傾向
例年、受験シーズンはインフルエンザに罹患しないための体調管理が受験生の最重要課題となるが、2021年入試では、これに新型コロナウイルスという強力な感染症が加わった。
新型コロナの場合には、濃厚接触者も感染者に準じる扱いとなるため、家族に感染者が出た場合、受験を断念することになりかねず、そのプレッシャーは想像するに余りある。開成など一部の学校が追試の実施も発表しているが、ほとんどの学校ではインフルエンザと同じ扱いというのが現状だ。
東京と神奈川の入試は、2月1日から始まる。2020年と比べて、以下の3つの点に注目しながら、志願者の増減について見ていきたい。
まず、上位・中堅の男子校の中に人気が沸騰している入試が散見される点である。特に、日本大学豊山中学校・高等学校(文京区)は各回で大きく志願者を伸ばしている。それは有名私大付属校にも当てはまるのだが、その温度差は意外と大きい。
次に、東京湾岸人気とでも名付けたほうがいい傾向である。ここに該当するのは、共学校の青稜(品川区)とかえつ有明(江東区)、男子校の高輪(港区)といった学校なのだが、立地以外に共通点はあまり見られず、各校各様という雰囲気でもある。
そして、すっかり定着した午後入試の志願状況が比較的緩和気味である点だ。つまり、2020年ほどの熱狂はなさそうという見通しである。
2月入試の志願者数1000人超の入試は開成のみである。前編で触れた早稲田の付属と系属校以外に、難関・上位校で志願者減少が見込まれる入試としては、2日の聖光学院(1回)と桐朋(2回)がいずれも▲10%強、渋谷教育学園渋谷(2回)が10%台半ばの減少、3日の早稲田(2回)が10%強の減少となっている。桐朋と渋谷教育学園渋谷のいずれも2回は、実倍率予想が1.7倍程度とだいぶ受けやすくなりそうだ。