中学受験のボリュームゾーンを知る
2月1日午前だけで4万2000人ほどの受験生が東京・神奈川のいずれかの学校で入試に臨んでいる。そのうち、難関校が占める割合は2割程度であり、残りの多くの受験生は中堅校に集まっている。こうした受験生にとって、頼りになるのが日能研と首都圏模試だ。
SAPIXや四谷大塚ではともすれば偏差値が示されないような学校の入試にもきめ細やかに対応している。そのため、偏差値が3以上増えた入試の数が、国公立の中高一貫校を除いても日能研は40件以上、首都圏模試では80件以上挙がっている。いずれも数が多いので一覧はしないが、それぞれ特徴的な状況を見ていこう。
まず1月入試では、日能研で埼玉栄(4回医難)が+13、千葉日本大学第一(2)が+9と爆上げ状態である。前回が低すぎたのかも知れない。首都圏模試では埼玉栄の9つの入試を含め、20件近い埼玉の入試が顔を出し、浦和実業学園や昌平も複数挙がっている点に、この模試の受験生の特徴が表れている。また、千葉でも昭和学院や共学化・校名変更して男子受験生分が上積みされた光英VERITASの午後入試が大きく偏差値アップしている点が目立つ。他の模試でも顔を出した千葉日本大学第一と東海大学付属浦安も2件ずつ入っている。この2校が千葉の付属校人気を分け合った感じである。
日能研で注目されるのは、難関校である駒場東邦と慶應義塾湘南藤沢がいずれも+3となっている点だろうか。難関・上位校で偏差値が大きく動くことは珍しい。共学の人気校はだいたい偏差値が上昇している。列挙すると、青稜、かえつ有明、桜美林、明治大学附属明治、開智日本橋、東京農業大学第一といった学校の入試だ。関東学院(2期)が+4というのは、共学校の神奈川勢で上昇が比較的少なかった日能研では珍しいかもしれない。男子校では、獨協と聖学院が挙がっている。
これは2021年入試の特徴でもあるが、女子伝統校が多く見られる。これも列挙していくと、山脇学園、昭和女子大学附属昭和、跡見学園、東京女学館、実践女子学園、淑徳与野、清泉女学院、晃華学園、カリタス女子、富士見といったところだ。特に、下げすぎた感もある跡見学園は3つの入試が入っており、復調傾向がうかがえる。
首都圏模試ではどうだろうか。男子校では日大豊山が4件も入っている。ここでは京華(第2回)と佼成学園(第3回)が目を引く。女子校では、日能研にない大妻多摩と捜真女学校を加えておきたい。
東京・神奈川の共学校は全体の半分の件数を占めている。多摩大学目黒、東海大学付属高輪台、ドルトン東京学園、日本大学第一、日本大学第三、文化学園大学杉並、文教大学付属、明治学院、安田学園、日本大学、山手学院が挙げられ、中堅校志望者の層の厚さが改めてうかがえる。