軟調の入試が多い多摩地区で伸ばした学校

 23区内と比べると、多摩地区の中学受験率はぐっと下がる。それでもJR中央線沿線と京王線の一部は比較的熱心で、2024年に増加傾向の中堅・中位校も見られる。武蔵野市から調布市にかけての世田谷区隣接エリアはその代表となる。

 武蔵野市にある成蹊は23年に前年比1割ほど出願者数が減った勢いが24年も継続しているようで、24年1日1回は前年比20%減の282人となった。23年実倍率2.4倍も緩和することになりそうだ。聖徳学園はほとんどの入試回で23年をすでに上回り、23年419人の1日適性検査型も上積みしている。隣の三鷹市にある明星学園はほぼ23年並みだが、やや弱含みとなっている。小金井市の東京電機大学はおおむね23年並みだが、22年388人から23年472人まで増やした4日午後4回の出願状況が注目される。

 桐朋女子は23年より1日Aが1割増、2日午後Bが微減で全体として微増、同じ調布市にあるカトリック校の晃華学園は23年より微減の見込みとなっている。府中市の明星は、1日午後から先の入試回がいずれも100人を超える勢いで、今後に期待が持てる。
 
 西武線沿線も見ておこう。幼稚園から大学部までの一貫教育で知られる自由学園は、創立100周年を機に24年から男子部と女子部が統合して共学の中等科・高等科となった。1学年1クラスのこぢんまりした学園だけに、大きく志願者が増えたということもないようであるが、10日に2回目の入試がある。
 
 19年に高校が共学化した男子校の明法は、24年は募集人員を当初予定より3分の1減らして臨んだが、1日1回が上積みした他は23年並みとなりそうだ。中学も25年から共学化の予定で、同じ東村山市にある明治学院と共学校として競い合うことになる。小平市にある女子校の白梅学園清修は1日1回の減少分を補うためか、24年は2日と3日に午後入試を新設したが、志願者数全体は微増傾向になっている。

 多摩地区西部は女子校から見ると、東京純心女子は23年比微増、共立女子第二大妻多摩は同微減で推移している。1日午後の志願者をどれだけ上積みできるかで全体の状況が変わりそうだ。

 八王子市の共学校では、穎明館工学院大学附属が弱含みで23年より減少しそうだが、八王子学園八王子は1日午前の志願者数の9割弱を占める適性検査が好調で前年並みを維持しそうだ。多摩大学附属聖ヶ丘は1日午後の積み増しが大きく、すべての入試回で23年実績を上回り、22年からの続伸となりそうだ。あきる野市の東海大学菅生は23年、全体的に1割半ほど志願者を減らしたが、24年も引き続き軟調となっている。町田市の桜美林も22年から23年に向けて軟調で、24年も弱含みとなっており前年並みを維持できるか。