神奈川で進む優勝劣敗の流れ

 神奈川はまずは横浜市18区にある学校から見ていこう。県立横浜翠嵐から名物数学教師が移籍、進学校化に拍車がかかっている関東学院(南区)が、大きく減らした23年に続き24年も減少傾向となっている。これは、旧一期Aの23年実倍率3.6倍(女子は6.2倍)を回避した「弱気の学年」を象徴する動きかもしれない。大学と同じキャンパスにある関東学院六浦(金沢区)は23年に積み増したが、締め切りが近づくにつれ出願が伸びて、ほぼ前年並みを維持しそうな状況にある。

 上位校のところで取り上げるべきだったかもしれないが、23年に大きく減らした神奈川大学附属(緑区)は、1日午後1回がV字回復して23年を大きく上回ったが、30日現在700人と、22年770人までは届きそうもない。2日2回、4日3回がどこまで伸びるかが注目点となる。同じく大学の系列校では、鶴見大学附属(鶴見区)も調子がいい。23年に少し減らしたが、24年は全体的に2割近く増やしており、22年実績を超える入試回も出ている。

 横浜翠陵(緑区)はほぼ23年並みとなりそうだ。同じ学校法人傘下の横浜創英(神奈川区)は四模試でも好調だったが、1日は午前も午後も前年比で3割前後伸びている。2日以降の出願は出足が鈍いが、23年の実倍率が5倍、10倍という入試回もあったことが理由と思われる。横浜隼人(瀬谷区)は22年から続伸しており、すでに全入試回が23年実績を上回っている。

 桐蔭学園中等教育学校(青葉区)は22年から続伸している。特に1日1回午後が23年469人から30日現在で574人と100人強上乗せするなど絶好調である。森村学園(緑区)は1日1回が22年から続伸しているが、23年に大きく伸ばした2日2回300人にどこまで迫れるか。
 
 聖ヨゼフ学園(鶴見区)は23年に少し減らした分を24年では回復、ささやかではあるが22年実績も上回っている。山手学院(栄区)は23年に大きく伸ばした。24年は前年維持が微妙な状況にある。公文国際学園(戸塚区)は23年に少し伸ばした1日Aが前年比9人減の275人で確定した。23年に3割近く減らした3日Bがどこまで戻すか。横浜富士見丘(旭区)は22年から全体的に少しずつ減らしている。

 女子校の状況も見ておこう。捜真女学校(神奈川区)は1日A1とA2がすでに23年を超え、全体的に上向いている。神奈川学園(神奈川区)は23年に大きく伸ばしたため、24年は前年並みの確保が微妙となっている。横浜女学院(中区)は全体的に大きく減らしそうな状況にある。

 神奈川の内陸部では、伊勢原市の自修館中等教育学校が22年から上向きで、続伸しそうだ。東急田園都市線「中央林間」駅からも近い大和市の聖セシリア女子は22年から続伸傾向で、24年も前年比微増となりそうだ。

 湘南にかけてのエリアには女子校がそろっている。藤沢市の湘南白百合学園は、22年257人、23年423人と伸ばした1日午後の1教科入試で復活した。24年はさらに上乗せして496人となっている。鎌倉市の清泉女学院は23年に大きく減らしたが、24年は回復基調にある。この2校の人気が、湘南エリアの他校に大きく影響している。

 割を食っているのが鎌倉を冠する3つの女子校だろう。鎌倉女学院は22年から続落しそうで、2日1次の23年実倍率1.3倍がさらに緩和しそうで、何か手を打つ必要が出てくるだろう。きめ細かく入試を設定している鎌倉女子大学は、23年に少し盛り返したものの、26年から中等部と高等部が共学化することを発表している。北鎌倉女子学園はすでにとても受けやすくて受かりやすい。
 
 湘南エリアの女子校を引き続き見てみると、逗子市にある聖和学院は各入試回の出願者数が10人前後で例年通りとなっている。横須賀市にある緑ヶ丘女子は25年から中学での募集を停止する。藤沢市の聖園女学院は22年からささやかながら続伸している。
 
 共学校では、藤沢市にある湘南学園と横須賀市にある横須賀学院は、いずれも23年に伸ばしたが、24年は減少気味で後半の入試回で前年実績を維持できるか微妙である。小田原市の相洋は微増となりそうだ。