高校では他に、「A特進」(難関大学進学を目指すクラス)が「ボストン修学旅行」による探究学習を、「理数S」(理数分野の専門家を目指すクラス)が「理数探究」による探究学習を実施する。探究学習は、発表までのプロセスを通して、能動的に動くこと、そして課題解決能力と発信力を伸ばす。学習の成果をポートフォリオにまとめることで、大学入試の総合型選抜にも対応できる。中学では前段階として学力の向上に注力する。

中学でも教科書の内容を掘り下げた「探究」に取り組み、卒業発表を行う

 その基礎学力の養成のため、22年度から始まったのが中学での「放課後BJメンター」制度。年間約200日、女子大学生の学習メンター(助言者)が自習室に常駐し、教員と連携を取りながら、定期試験の対策や振り返り、苦手科目の克服法などを生徒たちにアドバイスする。年齢が近い分、格好の学びのロールモデルとなる。部活動がない日は自習室に行くことが習慣化されており、学びのモチベーション向上に役立っている。

年齢の近い女子大学生の「学習メンター」は、学びのロールモデルでもある

国際交流教育が再開
「英語1科」入試も好評

 豊山女子のグローバル教育は、英語教育とキャリア教育が一つのプログラムになっているのが特徴だ。コロナ禍で中断していた国際交流教育も再開した。中1・中2の希望者は17日間のニュージーランド春季短期留学を実施。高校のA特進では前述した「ボストン修学旅行」が復活した。米国・ボストン近郊のハーバード大学やマサチューセッツ工科大学、ウェルズリー女子大学を訪れ、ハーバード大生が企画する女性リーダー育成のための「LADYプログラム」に参加し、講演の聴講やディスカッション、英語でのプレゼンテーションを全員が体験する。
 

「理数Sクラス」では「理数探究」に取り組む。卒業時には英語の論文も作成する

「高校のN進学と理数Sは、23年度からオーストラリア修学旅行になりました。現地では学校訪問の他、オーストラリアで活躍する日本人女性たちとの会食もあり、生徒たちは多くの刺激を受けたようです。中高のうちに一度は海外に行って“世界標準”を体感し、海外から日本を見る視点を養ってもらいたい」と黛校長は話す。