少人数教育でコンパクトな附属中学校の校舎

新入試の導入と求められる生徒像

[聞き手] 森上展安(もりがみ・のぶやす) 森上教育研究所代表。1953年岡山生まれ。早稲田大学法学部卒。学習塾「ぶQ」の塾長を経て、88年森上教育研究所を設立。40年にわたり中学受験を見つめてきた第一人者。父母向けセミナー「わが子が伸びる親の『技』研究会」を主宰している。

――適性検査といいますか、入学者選抜の方式も変わりましたね。

佐々木 すでに、2021年度と22年度の2回行いました。適性検査ではなく、本校では新入試と呼んでおります。小学校で学習した基礎・基本も大切にしながら、単なる暗記だけでは解答できないような、思考力・判断力・表現力などを一層重視した教科横断・総合的な学力を見るものに変更しました。こういうことを学びで大事にしていると、受験生にメッセージを送るようにしています。

 小学校での学びを大事にしつつも、それだけにとどまることなく、関心を持って、自らいろいろ学ぶことを楽しみ、思考力を発揮できるような生徒に来てほしいと思います。先生方もそういうところを工夫しながら、授業を行っていますので。

――具体的にはどのような入試になったのでしょう。

佐々木 直接入試問題をお見せできないのですが、検査IからIIIまであります。特徴的な問題の概要を列挙しておきたいと思います。

 21年度では、会話文をきちんと読み、条件にしたがって説明したり、理由を説明したりする思考力・判断力・表現力を重視した問題(検査I〈4〉)、新聞記事の内容を踏まえて論理的に考え、与えられた条件にしたがって、まとまった量の文章を書く問題(検査II〈2〉問3)、学校生活や社会生活上の身近な題材をもとに、課題に対してさまざまな立場や視点から多面的・論理的に考え、合意できる答えを導き出したり、自分の意見を説明したりする問題(検査III〈3〉)が出題されました。

 22年度では、社会生活上の身近な題材をもとに、自分自身が考えた課題に対して、その課題解決のために考えて表現する問題(検査I〈3〉)、資料中のグラフの内容を踏まえて論理的に考え、与えられた条件にしたがってキャッチコピーを作ったり、まとまった量の文章を書く問題(検査II〈1〉問4)、会話文と表の値をもとに、条件に当てはまる解答を論理的に考え、具体的な数量を比較して説明する問題(検査III〈4〉問3)などです。

――都立の中高一貫校のように「適性検査」とは言っていないのですね。過去問では対策できないでしょうから、どう勉強したらいいのか、受ける方も準備ができていればと思います。新入試の導入で、何か変化はありましたか。

佐々木 入ってくる生徒像が大きく変わった、というほどでもないのですが、自分の考えをある程度まとまった文字量で記入できることを意識しています。択一式ではなく記述式にしているのも、実際に自分の考えを他者に伝えられることを重視しているからです。入学後も、授業では一人一台の端末を持ち、自分の意見を伝え合うことも多くなるので、そういう作業をいとわずに取り組む必要があるからです。

――今年の募集状況はいかがですか。

佐々木 7月にオープンスクールで小学生向けの授業や学習体験を行いました。在校生が小グループでガイドして回るツアーも実施しています。300組以上の親子が参加しましたが、すぐに定員が埋まりました。対面での学校説明会は、10月22日に午前と午後に分けて実施しました。1100人の定員が申し込み開始日にすぐ埋まっています。