絶対にNGな親の言動はこの2つ!

 模試の成績が伸びないなどで、子どもが心底落ち込んでしまったらどうするか――実は落ち込むのも勉強のうちです。受験を通して不条理を知り、努力の尊さとむなしさを味わうことにも価値があります。

 全勝することが中学受験の目的ではありません。落ち込んでいれば、優しく励ましてあげましょう。

 どうしてもだめだなと思ったときは、慌てずに塾の先生に相談しましょう。塾の先生はこうした事態には慣れっこなので、必ず適切な助言をくれます。

『北風と太陽』の太陽になり一致団結して受験に挑む

 右の「絶対にNGな親の言動はこの2つ!」にある行動にも気を付けてください。「今のままだと滑り止めの〇〇にも受からない!」などと言うのは言語道断です。親の姿勢は、イソップの『北風と太陽』の太陽が9割だと思ってください。

富永雄輔氏顔写真

富永雄輔(とみなが・ゆうすけ)

進学塾VAMOS代表。現在は東京都内で5教室を展開。入塾は先着順ながら毎年首都圏トップクラスの合格率を誇る。子どもの主体性や個性に着目した論理的な授業で成績を伸ばし、圧倒的な支持を集める。著書に『ひとりっ子の学力の伸ばし方』(ダイヤモンド社)、『AIに潰されない 「頭のいい子」の育て方』(幻冬舎新書)など。

 受験は、行きたい学校に行くという子どもの望みを親が後押しするものであって、親が望むことを子にやらせるものではありません。わが子が初めて歩けるようになったときのことを思い出してください。親のペースではなく、その子のペースに合わせて歩いたはずです。しかし受験になると、親のペースで歩かせようとする例が後を絶ちません。12歳の子が苦しんでいるのに、無理に引っ張ると壊れてしまいます。親子の歩調が合わず、方向性にズレを感じたら、注意が必要です。

 ただし、安易に「やめ癖」を付けさせないことも大切です。転塾しても受験の苦しさは変わりません。受験は大変なのが当たり前で「大変ではない受験」はありません。リセットして、高校受験に切り替えても、やめたくなる可能性があります。どこかで踏ん張る経験は必要で、子が心身に不調を来すほどでなければ、粘るのも手です。

 受験には、合格や偏差値向上だけでなく「頑張ること」自体を経験する精神修行の面もあります。頑張ったから成長できるのです。

 中学受験を家族のイベントとして捉え、家族が一致団結して、共に乗り越える経験として楽しむ。最終的には「家族で一緒に走れてよかった」と手を取り合えれば、それこそが中学受験の醍醐味だと思います。