親子イメージ写真

子どもの教育と健康への投資は、最も費用対効果が高いとされているという(Photo:PIXTA)

目標を立てることは大切だが「お金で釣る」は逆効果!?

目標設定が成績改善に寄与する

――そもそも勉強が苦手な子どもを、できる子どもに変えることは可能なのでしょうか?

中室 これは子育て中の親御さんから最も多く寄せられる悩みです。勉強が全てではありませんが、教育を通してさまざまな知識や技術を身に付けることは、必ず将来の役に立ちます。そこで親の立場としては、勉強することが苦にならない方法を知っておくことが大切です。

――どのような方法が考えられますか?

中室 「目標を立てる」ことは効果的です。目標とは将来の自分に制約をかける“コミットメント”であり、例えば「今日からダイエットします!」と周囲に宣言して、後に引けない状況をつくることと似ています。

 エビデンスとして、カナダのマギル大学で行われた実験データ(図表1)があります。

図表1<p> 目標に関する演習を受けた学生と受けなかった学生の成績の差

 まず、設定した目標を達成するための戦略立案や、達成を宣言するオンライン演習を用意。そして成績の振るわない85人の学生を集めて、この演習を受講するグループ(処置群)と、受講しないグループ(対照群)に分け、その後の成績を比較しました。その結果、もともと同程度の成績であった両グループですが、演習で嫌と言うほど自分の目標と向き合い、達成に向けた課題を咀嚼した処置群は、GPA(成績評価、4点満点)の平均値が、0.66も高くなったのです。