「当たり前のことを当たり前にやる」は使用禁止にすべきだあなたは部下に「当たり前のことを当たり前にやれ」と言っていませんか?

「当たり前のことを当たり前にやるのが大事」とは一体なんのことなのだろう。

 新入社員の頃、この言葉が大好きな上司がいた。私は大反発である。なぜなら私の働いていたリクルートでは、「人のやらないことをする」「世の中にない事業を創造する」ことが会社の公式の価値観であると宣言しており、私自身、それに共感して入社したからだ。

 当時は我慢できず、「当たり前のことを当たり前にやるのが大事なら、公務員や銀行員になった。あなたこそ会社の理念に反したことを言っている」と上司に激しく反発したものだった。

 実は私の職場に限らず、どこの会社にもこうした“当たり前おじさん”はいる。「当たり前のことを…」を部下に力説する彼らを見て、「当たり前教」という宗教でもあるのだろうかと思ったものだった。

 そんな「当たり前教」の人々を、様々な場面で注意深く観察してきたなかで、わかったことがある。同じ「当たり前のことを…」というセリフを言っていても、よくよく聞いてみると、人によってどんな意味を指しているのか、全く違っているのだ。

「当たり前のことを当たり前にやる」
“6つ”の意味合いとは?

 観察の結果、「当たり前のことを…」のセリフには、大きく6つの異なる意味があることがわかった。

【1】決まり事や手順を、確実に守れ
――「規範」(当たり前のこと)を「確実」(当たり前)に行うこと

 まず1つ目は、決まり事や手順を確実に守れ、という意味だ。時間を守り、身なりを整え、整理整頓などをきちんする重要性を強調する。そして勝手なことをすると人に迷惑をかけることをわからせようとする。ビジネスパーソンとしての躾(しつけ)を守らせるための発言だ。若手社員や問題児向けの言葉だと言っていいだろう。