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ニューロビジネス思考で炙り出せ!勝てない組織に根付く「黒い心理学」 渡部幹

生態別「ダメ上司」判定と攻略法

渡部 幹 [モナッシュ大学マレーシア校 スクールオブビジネス ニューロビジネス分野 准教授]
【第41回】 2016年1月6日
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「ダメ上司」がのさばる
日本固有の事情とは

 本連載「黒い心理学」では、ビジネスパーソンを蝕む「心のダークサイド」がいかにブラックな職場をつくり上げてい くか、心理学の研究をベースに解説している。

 恐らく、日本の、いや世界中のビジネスパーソンで、ある程度の年数を働いたことのある人ならば、「上司についての愚痴」を言ったことのない人はいないだろう。アメリカの映画などでも、現場を知らない上司がエラそうに指示するのを、あきれ顔で見ている「現場をよく知っている」部下、のような構図をよく目にする。

 日本でも、ソーシャルメディアに上司についての問題がアップされない日はないくらいである。

 こういった、上司への愚痴は世界共通ではあるものの、先日外資系の会社に勤める友人たちと話していて、日本特有の「上司の特徴」に気がついた。筆者ら数人で話していて意見が一致したのは「日本の上司は差が激しい」ということだった。

 少なくとも欧米と比べ、また筆者の住むマレーシアと比べても、優秀な上司とそうでない上司の差が激しい。日本も「上司力」をつけるために、リーダーシップ研修、管理職研究、組織論などを学ぶ企業内研修がいたるところで行われている。しかし、それらを実施できるのは、大企業と一部の中小企業のみで、全体と比較して研修参加人口は、わずかでしかない。日本の会社の大部分をしめる中小企業では、「上司力」を鍛えるような学習プログラムを提供できるような余裕はないのが実情だ。

 そうなると、日本の上司力が個人の力量任せになってしまうことになるし、実際そうなっている。さらに、最近はなくなってきているものの、昭和時代からつづく年功序列制はまだ根強く、「年長」、あるいは「経験者」が昇進対象として優遇される傾向にある。

 さらに、日本の会社組織では「上司」という役割の定義を明確にしていないところが多く、必ずしも適任とはいえない人事が行われることもよくある。例えば、ある会社のIT系部門の技術部長に技術のイロハも知らない営業出身の人物が異動となったり、技術はあるものの、他者とのコミュニケーションで問題ばかり起こしている人物が昇進したりする。これは、それぞれの組織での管理職としての仕事内容を、人事や組織内できちんと議論せず、明確にしていないために起こるものだ。

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渡部 幹(わたべ・もとき)
[モナッシュ大学マレーシア校 スクールオブビジネス ニューロビジネス分野 准教授]

UCLA社会学研究科Ph.Dコース修了。北海道大学助手、京都大学助教、早稲田大学准教授を経て、現職。実験ゲームや進化シミュレーションを用いて制度・文化の生成と変容を社会心理学・大脳生理学分野の視点から研究しており、それらの研究を活かして企業組織にも様々な問題提起を行なう。現在はニューロビジネスという大脳生理学と経営学の融合プロジェクトのディレクターを務めている。代表的な著書に『不機嫌な職場 なぜ社員同士で協力できないのか』(共著、講談社刊)。その他『ソフトローの基礎理論』(有斐閣刊)、『入門・政経経済学方法論』、『フリーライダー あなたの隣のただのり社員』 (共著、講談社)など多数。


ニューロビジネス思考で炙り出せ!勝てない組織に根付く「黒い心理学」 渡部幹

この連載の趣旨は、ビジネスマンのあなたが陥っている「ブラック」な状況から抜け出すための「心」を獲得するために、必要な知識と考え方を紹介することにある。社員を疲弊させる企業が台頭する日本社会では、「勝てない組織」が増えていく。実はその背景には、マクロ面から見た場合の制度的な理由がある一方、日本人の持つ国民性や心理もまた、重要な要因として存在する。そうした深いリサーチが、これまで企業社会の中でなされてきただろうか。本連載では、毎回世間で流行っているモノ、コト、現象、ニュースなどを題材として取り上げ、筆者が研究する「ニューロビジネス」的な思考をベースに、主に心理学や脳科学の視点から、その課題を論じていく。あなたは組織の「黒い心理学」を、解き明かすことができるか。

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