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トンデモ人事部が会社を壊す

面接や受付が横柄な「ダメ企業」はなぜ減らないのか

山口 博
【第52回】 2016年9月6日
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採用面接で候補者に名刺すら渡さなかったり、出入りの業者だからといって、ぞんざいに扱うことについて、何の疑問も持たない会社は数多い。しかし、社外からの訪問者という意味合いでは、彼らも立派な「お客さま」。こうした人たちにまともな対応ができない会社は日々、無意識のうちに自社のイメージに泥を塗っていると思った方が良い。

 採用候補者として名刺を渡しても、面接担当者は名刺を受け取るだけで自分の名刺は渡さず、名乗られただけという経験をした方も多いに違いない。候補者から名刺を渡そうとしなければ、多少の自己紹介をして、そのまま面接に入ることが通例だ。

 中には、こちらが名刺を渡したり、自己紹介したりしても名刺を差し出さないどころか、名乗りもしない採用面接担当者もいる。そして名乗らないことを、当然だと思っている採用面接担当者もいるのだ。

なぜ採用担当者たちは
候補者たちをこうもぞんざいに扱うのか?

 その理由を聞いてみると、「人事部からそう指導されているから」、「採用面接マニュアルにそのように書いてあるから」、「従来から、そうしているから」など、特に意識していないというケースもあれば、「なぜ、取引先でもない採用候補者に名刺を渡さなければならないのか?」、「リスク管理のために渡すべきでない」と答える人もいた。

 「リスク管理のため」とは分かりづらい理由かもしれないが、要は「取引先でもない、人となりもわからない採用候補者に名刺を渡して、悪用されたらどうするのか」、「不採用になった候補者から、個人的に恨まれてはかなわない」、「(恨まれないまでも)採用に関して、個別にコンタクトされては困る」というわけだ。

 しかし、そこまで目くじらを立てて「リスク管理」を優先する必要が本当にあるのだろうか?

 採用窓口である人事部ではなく、面接担当者にコンタクトしてきたら、「採用窓口へお問い合わせください」と誘導すればよいだけではないか。採用窓口は人事部と知りながら、何か理由があって、面接担当者に直にコンタクトしてきたのであろう。そうした事情を斟酌して、応ずる気持ちがあるのであれば応ずればよいし、応ずる考えがないのであれば、人事部へ回せばよいではないか。

 こうした行動は、ビジネスにおいてはごく普通の応対だと思われるのだが、なぜか採用候補者に対しては、防衛本能が働いてしまうようだ。

 確かに、書類選考しているとはいえ、採用候補者の人となりは、会ってみないと分からない。それは言えるだろう。しかし、会ってみなければわからないという状態は、初めてコンタクトする潜在顧客も同じではないか。しかし、潜在顧客には嬉々として名刺を渡し、採用候補者には名刺を渡さないということが起きているのだ。採用候補者に対しては、あたりまえの挨拶がなぜできないのだろう。

 「不採用になった候補者から、個人的に恨まれてはかなわない」という理由が挙がった採用面接のケースをひもといていくと、不採用になった場合に恨まれるような面接をしている事例が山ほど出てきた。「その場で過去の成果について、ダメ出しをする」、「その程度の実績では、当社では通用しないと断言する」、「転職理由をくどくど聞いて、その都度、異論を唱える」、「面接中に面接担当者が居眠りをしてしまった」という実例まで挙がった。

 ビジネスパーソン同士の対応とは思えない言動である。

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山口 博

やまぐち・ひろし/慶應義塾大学法学部政治学科卒(サンパウロ大学法学部留学)、長野県上田市出身。国内大手保険会社課長、外資系金融保険会社トレーニング・シニア・マネジャー、外資系IT人材開発部長、外資系企業数社の人事部長、人事本部長歴任後、現在、コンサルティング会社のディレクター。横浜国立大学大学院非常勤講師(2013年)、日本ナレッジ・マネジメント学会会員。近著に『チームを動かすファシリテーションのドリル』(扶桑社、2016年3月)がある。

 


トンデモ人事部が会社を壊す

サラリーマンの会社人生のカギを握る人事部。しかし近年、人事部軽視の風潮が広まった結果、トンデモ人事部が続々と誕生している。あっと驚く事例をひもときながら、トンデモ人事部の特徴や、経営陣がすべき対処法などを探っていく。

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